中学3年時、熊本代表として出場したJOC杯全国都道府県対抗中学大会で優勝。高校バレーボール界の名門・鎮西高に入学すると、1年時に春高制覇を経験した。2年生から主将も務め、エースが背負う背番号「3」をつけた。3年時は同学年の高橋藍を擁する東山高が春高を制したが、卒業後に進学した早稲田大では4年間で3度も全日本インカレを制覇。主将を務めた今季は春・秋リーグと東日本インカレ、全日本インカレを制し“四冠”を達成し、しかもすべての大会で最優秀選手に輝いている。

キャプテンを務めた今季は“四冠”を達成　©︎AFLO SPORT

　さらに華やかな戦績もさることながら、記録以上に記憶に残るのが水町という選手だ。

仲間を救う有言実行「全部、俺に」

　身長181センチ。アウトサイドヒッターとしては小さい。しかし、パワー、巧さで圧倒してウィークポイントを感じさせない。さらに早稲田大で多くのレシーブ賞を受賞するように、サーブレシーブやディフェンス力の質も一級品。水町自身が「注目してほしい」と語るサーブも武器の一つだ。そして何より、最大の魅力は“人間力”にある。

高1で春高バレー制覇を経験した水町泰杜（右）©︎Naoki Nishimura/AFLO SPORT

　たとえば、水町が初めて出場した春高バレー。インターハイを制し、優勝候補として出場した鎮西だったが、大会初戦の公式練習時に正セッターが体調不良で急遽欠場。代わりに1年生セッターがコートに送り出された。チームには絶対的エース鍬田憲伸（当時3年／現サントリー）がいたとはいえ、重圧は大きい。目に見えて緊張する同期にスッと近寄り、声をかけたのが水町だった。

「全部、俺に上げればいい。困ったら、全部持ってきていいから」

　水町は有言実行とばかりに上がるトスは全部打った。この時から「鎮西のエース」を背負うことを約束されたような選手だった。

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