事業拡大、ジムも増やしていきたい

　総合格闘家としての勝村が主戦場としてきた修斗は、プロレスから離れた佐山聡（初代タイガーマスク）が創始者。それだけに、かつては“格闘路線”のプロレスに対する敵愾心も強かった。“俺たちこそ本物なのに”と。そういうムードの中で、バッグの中にプロレス雑誌を隠しながらジムに行っていたのが勝村だ。30代から始めたプロレスが楽しくて仕方ない。

「格闘家もそうですけど、プロ選手になる人間には闘ってるところを見てほしい、目立ちたいっていう気持ちもあるんだと思います。その気持ちを、僕は今でもプロレスのリングで満たしてもらってる。だからこそ、ジムでは選手のサポートを全力でしたいと思えるんですよ」

初心者向けのグラップリング大会も長く開催してきた　©本人提供

　新たな事業を拡大しながら、ジムももっと増やしたいそうだ。

「次にジムを作るなら、朝から晩まで選手がガッツリ練習できる場所にしたいですね。ビジネスのことだけ考えると、選手育成は効率が悪いという人もいる。初心者向けのジムが一番広がると。それは間違いないんですが（笑）。自分も育ててもらったし、やっぱりロマンとして選手育成、強い選手を生み出すことは追求していきたいんですよ。いずれ、プロ選手に技術や戦略を教えられる人間が僕以外にも出てくるというのが理想ですね」

　何足もの草鞋を履いての全力疾走。根底にある考え方を、勝村はこんなふうに表現してくれた。

「世の中にはいろんな人がいる。いろんな生き方、いろんな働き方がある。そのお手伝いじゃないですけど。僕自身が好きなことやって生きてきましたからね」