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「さよなら、エディー」密談スクープ豪紙の記者が明かす“裏切り行為”の真相と疑問「エディー・ジョーンズは日本代表にいつでも戻れたのか?」
text by
トム・ディーセント(シドニー・モーニング・ヘラルド)Tom Decent
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/12/22 11:04
日本代表HC就任の報道を受けて、オーストラリアメディアの大半が「日本はミスを犯した」という見解を示した
ジョーンズはW杯でオーストラリア代表を、本気で成功に導こうとしたのだろうか。個人的にはそう信じている。とはいえ、大会前のJRFUとの密談については動かし難い証拠があり、彼のイメージをひどく悪いものにした。
ジョーンズの現役時代のチームメイト、フィル・ケアンズはかつての同僚を「嘘つき」と呼んだ。またニュージーランドでW杯を2度制したレジェンド、ソニー・ビル・ウィリアムスはジョーンズの行動を「恥辱だ」と痛烈に批判し、日本がかわいそうだとも言った。
現役のオーストラリア代表選手も口を開き、アラン・アラーラトアとクウェイド・クーパーは代表で指導を受けた際、ジョーンズの心がそこにないように感じた瞬間があったと話し、彼がチームを去って日本へ向かったことに失望しているとも語った。いくらジョーンズが5年契約を10カ月未満で破棄した理由を、オーストラリア・ラグビー界の構造上の問題だと主張しても、そのような印象を拭うことはもうできない。
「日本協会はミスを犯した」
私たちの国のメディアの大半は、JRFAはジョーンズを再任するという“ミス”を犯したと考えている。何よりも、彼の近年の成績は凡庸だ。イングランド代表では13度のテストマッチで5勝、オーストラリア代表では同9試合で2勝しか挙げていない。
オーストラリアのファンは当初、ジョーンズの手腕とビジョンを支持した。W杯へ臨むスコッドから、クーパーやマイケル・フーパー、バーナード・フォリー、レン・イキタウといったそれまでの主力選手を外した時は大いに驚かされたが、それでもファンはジョーンズの「未来への建設的な決断」という言葉を信じた。しかしJRFAとの密談がリークされてからは裏切られたと感じ、今となっては彼の名前を見聞きすること自体に辟易している。