元ワラビーのレジェンドで今はコラムニストとして活躍するピーター・フィッツシモンズは先ごろ、次のように書いた。

「こんな風に、ただ大きな声で叫んでみたらどうか。エディー・ジョーンズはその口から嘘を並べ立て、ジャーナリスト、オーストラリア・ラグビー協会、オーストラリアのラグビーコミュニティー全体を欺いたのだ、と」

　彼を含む多くの人々は、ジョーンズのエゴによって、先のW杯が台無しになったと感じている。W杯で好成績を残すには、何よりも経験が重要だと歴史が証明しているのに、彼はベテランを切り捨て、多くの若手を抜擢した。クーパーやフーパー、フォリー、イキタウらをフランスに連れて行くべきだったと思うのは、筆者を含め、メディアやファンの大部分に共通していた。

クーパー「日本の選手も色々知っているよ」

　選手たちも、ジョーンズの辞任を苦々しく受け止めている。ある代表選手は、筆者にこんなメッセージを送ってきた。

「ワラビーズをめちゃくちゃにしておいて、さっさと消えて行くとはね」

　また花園近鉄ライナーズでプレーするクーパーは先週、筆者にこう語った。

「ここ日本の選手たちも、『その話はもう古いよね』と言っているくらいだ。彼らも色々と知っているよ。だから再任したジョーンズが日本代表をどう指導していくのか、実に興味深い」

　ジョーンズはワラビーズに再任された当初、メディアに気さくに対応し、楽しませてくれた。オーストラリアには別の種類のラグビーがいくつかあり、ラグビー・ユニオンを盛り上げることの重要性を理解していたのだろう。

　しかし結果が伴わず、5連敗を喫してW杯を迎える頃には、メディアとの関係はひどく悪化していた。彼の話す「我々」とはワラビーズを、「彼ら」とはメディアを差し、対立構造を作っていた。それがチームのためになると考えたのかもしれないが。

予選プール第3節ウェールズ戦、6-40と大敗を喫したオーストラリア。観客たちが見つめる中、スタジアムを後にするエディー・ジョーンズ　©︎Kiichi Matsumoto

　W杯でフィジーに敗れ、ウェールズに6-40の大敗を喫して連敗した時、メディアとファンはジョーンズとワラビーズをこき下ろした。それも仕方ない。なぜならジョーンズはメディアに、ネガティブなことばかり書かずに、オーストラリアがW杯で優勝できると信じるべきだと言っていたのだ。蓋を開けてみれば、決勝トーナメントにさえ進出できなかったのだから、痛烈な批判も自然な成り行きと言える。

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