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覆面女子レスラーにリングアナ…プロレス兼業の女性芸人が語る“ギャップ以上の面白さ”「M-1がなかったらお笑いをやってなかったかも」《インタビュー》
posted2023/12/23 17:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
M-1グランプリをはじめとするお笑いの賞レースにエントリーするのは、プロの芸人だけではない。一般参加もあればアイドルなど他ジャンルからのエントリーも。
昨年、結成されたグループ「ショウガールズ」は“兼業芸人”を堂々と謳う。「その言い方がベストかどうかは分からないけど、個性ではあるので」と言うのはリーダーの野中美智子。事務所の社長も務める“兼業”で、プロレスのリングアナとしても活動している。
「もともと、地元の名古屋で子役をやってたんです。名古屋から東京のワタナベエンターテイメントスクールに通ったり。高校入学のタイミングで東京に来て、いろんなオーディションを受けましたね」
リングアナ兼お笑い芸人というキャリア
所属した劇団に元プロレスラーがいたことから、プロレス界に縁ができた。会場に誘ってくれたのは桜花由美。「新しい団体を作るから」と言われて初めて見たのがプロレスリングWAVEの旗揚げ戦だったそうだ。1年後、今度はWAVEのリングアナとしてスカウトされる。
「それが2009年。まだ10代で、見習いとしてなんでもやりましたね。グッズ販売、受付、照明に音響も」
リングアナ15年目。現在はGirls Prowrestling Unit COLORSなどでもマイクを握る。ただレスラーの友だちは1人もいないそうだ。
「リスペクトが強すぎて近寄れないというのもありますし、仲良くなりすぎないように意識して頑張ったところもあります。1回くらい男子選手に口説かれてみたかったですけど(笑)」
同じ業界の仲間、という感じではないのかもしれない。肩書きから“見習い”が取れた後は撤収作業その他の雑用をすることもなくなった。プロレス団体では“手伝えることは率先してなんでもやる”ことを美徳とするムードもあるのだが、自分から一線を引いているという。それが野中なりのプロ意識だ。
「自分の仕事はリングアナなので、ということですよね」
「頑張る理由は賞レースなんです」
プロレス業界に入りたくて、その仕事の一つがリングアナというわけではなかった。演劇、芸能の仕事をしている中で依頼されたのがリングアナ。
「自分にとって、リングアナは声が出る限り一生やりたい表現活動の一つ。だから細かいこだわりもたくさんあります」
あくまで軸足は演じること、表現することだ。その中でやってみたかったのがお笑いのネタ。1人でやる踏ん切りはなかなかつかなかったが、近いところに仲間がいた。
「バラエティイベントに一緒に出ている中に、魅力的な子がたくさんいたんです。バラエティイベントというのは、テレビで見るような企画をお客さんの前でやるライブ。元アイドルとかブレイクしてない女性タレントが出ていて、将来につながるわけではないんだけど芸能人気分は味わえるみたいな。私は“しがみつき系”って呼んでるんですけど」