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大谷翔平が発言“彼が去ったら”ドジャース契約が崩れる…“天才”フリードマンとは何者?「28歳でメジャーGMに」「日本人記者に逆質問も」
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2023/12/21 17:00
大谷翔平とアンドリュー・フリードマン編成本部長
「チーム編成の天才」フリードマンとは?
フリードマン氏は2004年に金融業界からレイズ(当時デビルレイズ)のフロントに入り、ウォールストリートから球界に転身するのは画期的で先駆的と当時脚光を浴びた人物だ。翌2005年のシーズン後に弱冠28歳でGMに就任すると、わずか3年でチームを改造。1998年の球団創設から10年間でア・リーグ東地区最下位9度、ワースト2位1度と低迷し続けたチームを、2008年に初のワールドシリーズ進出に導くほどの手腕を発揮した。この驚きのサクセスストーリーは『ジ・エクストラ2%:ウォールストリート式の戦略はいかにしてメジャーの落ちこぼれ球団をトップまで引き上げたか』(ジョナ・ケリ著)という本にまでなっている。
日本人記者に「誰かいい選手がいたら教えて」
ワールドシリーズに進出した当時のレイズには岩村明憲が所属していたため、日本の報道陣はよく取材に通っていた。GMだったフリードマン氏とも取材を通して接する機会があったが、フランクな人柄で、日本人記者に「日本に誰かいい選手がいたら教えてくれないか」と聞いてきたこともある。そんなことを聞いてくる球団幹部は他に会ったことがなく、驚いた。どんな相手に対しても耳を傾ける、人の話を聞くことに非常に長けている人だ。
だからだろう。優秀な人たちが周りに集まった。フリードマン氏は2014年10月、ドジャースに引き抜かれ編成本部長に就任したが、その後のドジャースフロントには現ブレーブス編成本部長のアレックス・アンソポロス氏や、現ジャイアンツ編成本部長のファーハン・ザイディ氏ら球界屈指の優秀なエリートがそろっていた時期があり、まさに梁山泊だった。
常識にとらわれない抜擢人事を行う懐の深さも、フリードマン氏の特徴だ。
例えば前田健太がドジャース入りした2016年、前田の通訳としてチームに加わったウィル・アイアトン氏に対してもそうだった。