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バレーボールPRESSBACK NUMBER
愛称は「かおる姫」、写真集も発売…元人気女子バレーボール選手・菅山かおる44歳が「あのニックネームは本当に幸せでした」と語る理由
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byL)BUNGEISHUNJU、R)Takuya Sugiyama
posted2023/12/23 11:07
2000年代に日本代表などで活躍し、「かおる姫」の愛称で人気を集めた菅山かおるさん
リベロ転向→代表ではまさかのスパイカーに
切れのあるスパイクが印象に残るかおるさんだが、実は日本代表でのアタッカーとしての活躍は本人が意図したものではなかった。
幼いころから日本代表に入るのが夢で、高校卒業後、実業団チームに入った。ただし169cmという身長はバレーボール選手としてはそれほど大きいほうではない。
「もちろん、170cm以下の身長でも国際舞台で活躍している選手はいましたけど、でも、同じタイプの選手はそれほどたくさん必要とされないだろう、と。そこで、リベロに転向するほうが日本代表への道は近づくのではないかと考えたんです」
2005年のシーズン終了後、リベロに転向して約半年間、全くスパイクを打たずに守備練習のみに打ち込んだ。迎えた第11回Vリーグにはリベロ登録で出場。そこでの活躍が認められ、憧れ続けた日本代表に初めて選ばれたのである。
ところが日本代表は海外遠征の最中、アウトサイドヒッターが2名故障するというアクシデントに見舞われる。遠征中のため、ほかの選手を呼び寄せることはできない。困った当時の柳本晶一監督は前年までアウトサイドヒッターだったかおるさんに「スパイカーとして試合に出るように」と指示したのである。そして、スパイカーで出場した試合で活躍し、その後もスパイカーで出場を続けることとなった。日本代表に入るためにリベロに転向したはずが、思いもよらぬ形でスパイカーとしてスポットライトを浴びることになったのだ。
「“姫”じゃなくて申し訳ないな…って(笑)」
それにしても、写真集も発売されるなど、壮絶なフィーバーぶりだった当時、普段の生活は一変してしまうようなことはなかったのだろうか?
「いえ、特に自分自身は変わりませんでしたね。怖い思いですか? ときどき外出先で『後をつけられているなぁ』と感じることはありましたけど、それほど怖さは感じませんでしたね。いつも応援に来てくれる方は顔も覚えていましたし、マナーの悪い人もいなくて、あれほど応援していただいて、本当に幸せでしかなかったです」
さっぱりした性格だと自己分析するかおるさんだが、『姫』というメディアによって印象付けられたキャラクターと素の自分とのギャップに悩むことは?
「特になかったですね。ただ、『わたしのことを知っている周りのみんなは姫なんて思ってないんだろうな』って思いながら過ごしていましたけど。どちらかといえば『姫じゃなくて申し訳ないな』って思っていました(笑)」
ポジティブにとらえていたそうで、プレッシャーも全くなかったとあっけらかんと語った。