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「賞金50万ドル、取りに行くぞ!」“100倍の給料”のスター選手がなぜ? 八村塁も驚く超人レブロンの尽きないモチベーション〈もうすぐ39歳〉
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2023/12/18 06:00
新設されたインシーズン・トーナメントでレイカーズを初代王者に導いたレブロン・ジェームズ。師匠と慕う八村塁(左)も圧巻プレーに驚きを隠せなかった
インシーズン・トーナメント優勝を本気で取りに行った理由について、レブロンはこう語っている。
「世界でも最も競争心が強いアルファメール(頂点に立つ意欲が強い男)たちに、賞金付で価値があるものを競う機会が与えられた。インシーズン・トーナメントがそれだ。家族や街、コミュニティを代表して、大きな舞台、全米中継の試合を戦う機会が与えられたんだ」
さらに、チームメイトのためというモチベーションもあった。賞金の100倍近くを今季のサラリーで得るレブロン自身にとっては、50万ドルはそれほど大金ではない。しかし、若いチームメイトの中には、これがシーズン通してのサラリーの半額近くという選手もいる。そんな彼らのために賞金を取ることも、レブロンのモチベーションになっていた。
圧倒的な存在感…「まったく理解できない」
その言葉通り、レブロンはグループラウンド4試合、トーナメントラウンド3試合、すべての試合に集中力を研ぎ澄ませて挑み、存在感を見せつけた。
特にすごかったのが準決勝のニューオリンズ・ペリカンズ戦だった。ディフェンスではペリカンズの23歳のエース、ザイオン・ウィリアムソンをマークし、まるでダンプカーのように突進してくる彼からチャージングのファウルを2本取った。オフェンスでは第2クォーター開始早々に3本連続で3Pショットを沈めるなど、11連続得点をあげ、チームを勢いづかせた。この試合でのレブロンのスタッツは30点、5リバウンド、8アシスト。大差の勝利となり第4クォーターは試合に出る必要がなかったため、わずか22分32秒の出場時間でこの数字をあげた。25分未満で30点以上、5リバウンド以上、5アシスト以上の数字を残した選手は、NBA史上でも初めてだったという。
チームメイトのディアンジェロ・ラッセルは、そんなレブロンを見て言った。
「正直言って、こういうビッグゲームで彼がギアを一段上げるのは見ていて感心する。いつもよりシュートを決め、速く動き、いつもより高い運動能力を発揮している。疲れも知らない。まったく理解できない」
近くにいるチームメイトの理解をも超えた活躍だったのだ。