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「シンジが白スーツで…」なぜ21歳小野伸二はオランダ人に愛されたのか? 監督やトマソンが語る“美しいパス”だけじゃない14番の残像
text by
ミコス・ハウカMikos Gouka
photograph byPICS UNITED/AFLO
posted2023/12/20 11:02
2001年7月、フェイエノールトの移籍会見でマスコミやファンに囲まれる小野伸二(当時21歳)
ファンマルバイクに小野との思い出に話を向けると、こう話す。
「シンジとは3年間一緒に仕事をしたけど、彼とボスフェルトがセントラルMFのコンビを組み、トマソンがトップ下を務めた時の中盤は最高だったね」
「監督だったら誰でもシンジが欲しい」
ヨン・ダール・トマソン。フェイエノールトのシャドーストライカーとして小野から何本ものスルーパスを受けた男は現在、イングランド2部のブラックバーンを率いている。フェイエノールト時代に小野とボスフェルトとともに中盤のトリオを形成したことを、今でも誇りにしていた。
「オランダに来たばかりの頃のシンジはまだ言葉が話せなかったけど、一緒にピッチに立てばただ者じゃないことがすぐ分かった。彼には仲間を走らせ、チャンスを生み出す能力があった。監督だったら誰しもシンジのような選手が欲しいと願うはず」
小野が加入した2001-02シーズンのフェイエノールトは、国内リーグこそアヤックス、PSVに次ぐ3位に終わったものの、UEFAカップではレンジャーズ、インテルといった欧州の強豪を撃破し、地元ロッテルダムで開催された決勝に進出。ドルトムントを激闘の末、3-2で破り、1973-74シーズン以来となる2度目の優勝を果たした。
ファイナルの後半5分、小野は現地メディアが「シルクのようになめらかなパス」と形容するスルーパスをトマソンに通し、チームの3点目をアシストした。このゴールが小野とトマソンにとってのベストシーンかと思いきや、トマソンが忘れられない小野の姿として挙げたのは、UEFAカップ準々決勝のPSV戦だった。
(続く)
初出:Sports Graphic Number1068号(2023年2月16日発売)『[オランダから愛をこめて]シンジとフェイエの蜜月』より《翻訳=中田徹》
★後編では、盟友トマソンが「忘れられない」と明かした小野伸二の驚愕プレーや、幻に終わったビッグクラブへの移籍を当事者たちの証言で振り返ります。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。