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久保建英22歳「思いっきり叫んだら…」“動画に映らない”絶妙なゴール直前の判断「タケが決めて2-0で勝つよ」サポの期待を超えるMVP
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/12/12 11:03
古巣ビジャレアル相手にゴールを奪うなど、3得点すべてに絡んだ久保建英
「今日、サンセバスチャンから来たんだ」、「0−2で勝つよ、タケもゴールするよ」
サッカーと旅。こんな町にも、サンセバスチャンから旅してきたサッカーファンの姿があった。
この日ピッチへ入場してきたソシエダのメンバーは、一様に25番のユニホームを纏っていた。25年前、アトレティコ・マドリーの過激ウルトラスのメンバーによって殺害された、ソシエダファンのサバレタという人物を追悼してのものであった。
また久保にとっては、ビジャレアルはスペイン2シーズン目にレンタル加入したものの思い描いていた活躍をできないまま半年ほどで去った、古巣との対決だった。
一進一退の中で久保がマークしたアシストと“起点”
開始早々からソシエダは右サイドに入る久保、ブライス・メンデス、アマリ・トラオレの連動によって攻撃を仕掛けた。
久保は縦への突破や切り返してクロスを狙うなど積極的な姿勢を窺わせ、またメンデスのクロスにミケル・メリノが頭で合わせ決定機を作るなど、右サイドから攻勢をかけた。
ただ23分、相手のラフプレーによりブライスが負傷、一旦はプレーを続けたものの30分に交代に追いやられたこともあり、無得点のまま一進一退の攻防が続いた。
そして前半38分、ソシエダのCK。キッカー久保の放ったボールは、ニアで合わせたメリノによってゴールへ吸い込まれた。
先制点から続けざま、41分のCKで久保は腕をクロスするサインを送り、ショートコーナーを選択する。久保は再度パスを受けると相手を引きつけるように前進し、そしてノールック気味にリターンパスを送る。フリーとなったザハリャンがダイレクトで放ったシュートを、ゴール前の混戦からスビメンディがコースを変えて追加点を奪った。
ゴールで見事だった“一瞬の判断とタッチ”
さらにアディショナルタイム49分、ザハリャンが前線でボールを奪うと、サディクを経由してボールはメリノの元へ。メリノからのヒールパスを受けた久保は、右足のシュートで試合を決定づける3点目を奪った。
このゴールで特筆すべきだったのが、メリノが自身のほぼ真後ろに位置する久保へ見事なヒールパスを送ったところ。