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久保建英22歳「思いっきり叫んだら…」“動画に映らない”絶妙なゴール直前の判断「タケが決めて2-0で勝つよ」サポの期待を超えるMVP
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/12/12 11:03
古巣ビジャレアル相手にゴールを奪うなど、3得点すべてに絡んだ久保建英
そして連続写真を確認してみることで――動画には映らない久保の刹那の判断、それを実行する能力を改めて強く感じことができた。
パスを受ける久保は、1秒にも満たぬ間で、視線だけでゴール前の状況を把握すると、敢えてダイレクトシュートを選ばず、左足インサイドでボールを押し出し、よりゴール近くから右足でのシュートを選択している。ややコントロールが大きくなったようにもみえたが、冷静にGKのサイドを突いた。
ゴールの張本人は試合後「ミケルが見えてるとは思わなかったけど、思いっきり叫んだら、グティのヒールパスのような素晴らしいパスがきた」と述べており、ゴール直後には、メリノの元へ一目散に駆け寄ってゴールを喜び合った。
久保は、わずか10分間での3得点全てに関与し、相手を混乱に陥れたのだった。
ユニフォームを脱いで旧知のファンにプレゼント
直後のハーフタイムには、自身のユニホームを脱ぐと観客席へ近づきプレゼントする久保の姿があった。ビジャレアル時代から知るファンだったという。
後半に入って59分、CBスベルディアが負傷交代したことにより、ソシエダが前線からのプレスを止めて、中盤以降にブロックを作っての守備に移行した。それによってビジャレアルの攻勢が強まった。
ソシエダは何度か際どいシーンを作られたが、守護神レミーロのセーブ、守備陣の粘りで無失点でゲームを終わらせることに成功した。
MVPインタビューで敵地に響く“久保コール”
久保も後半は自陣へ戻っての守備、そこからカウンターに向かうなどフル出場で勝利に貢献した。『マルカ』紙電子版によるとシュート3本、パス成功20本、ファウルと被ファウルがそれぞれ2と、攻守両面で奮闘するスタッツを残した久保。ホイッスルと共にピッチへ転がり込む様子が、体力的にきつい展開だったことを物語っていた。
また久保がキッカーを務めた2つのCKからのゴールで、今季ソシエダがセットプレーから決めたゴール数は10となり、今季リーガで最もセットプレーからゴールを決めているチームとなっている。すなわち、キックの質を向上させた久保のセットプレーが、チームの得点源の1つとなっている。
2カ月半ぶりとなるゴール、そしてMVPに選ばれた久保が、ピッチ上でインタビューを受けている際には、残ったソシエダサポーターからの大きな久保コールが古巣のスタジアムで鳴り響いていた。