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大谷翔平“じつは最後まであった”エンゼルス残留説…ドジャース監督“まさかの暴露”からブルージェイズ急浮上まで「歴史的移籍はこうして決着した」 

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水次祥子

水次祥子Shoko Mizutsugi

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photograph byGetty Images

posted2023/12/11 17:03

大谷翔平“じつは最後まであった”エンゼルス残留説…ドジャース監督“まさかの暴露”からブルージェイズ急浮上まで「歴史的移籍はこうして決着した」<Number Web> photograph by Getty Images

大谷翔平の移籍劇を振り返る。写真は2021年オールスター時(左がドジャースのロバーツ監督)

タブー承知も…なぜロバーツ監督は話したのか

 会見の席に着いた同監督は、まず顔見知りの記者と「久しぶり。元気?」と挨拶を交わすと、1人の記者からチームの全体的な補強の進捗状況についての質問を受けた。すると「いろいろ話し合いはしているが大きな進展はない。話題にするのはタブーになっているけれど、ショウヘイがどう決断するか、それによって我々球団がどう対応するか」と、聞かれてもいないのに自ら大谷の名前を口にしたのだ。しかもタブーであることも、承知の上だった。

「ショウヘイのこと話せるの?」

 驚いた別の記者がそう尋ねると、ロバーツ監督は答えた。

「その可能性は大いにあるんじゃないかな。私が思うに……」

 それから4秒間沈黙。何か答えを見つけようとするかのように両目を天井に向けて左右に動かした後、おももろにこう切り出した。

「ああ、私たちは彼と会った。正直に言いたい」

 他の球団関係者は口を閉ざしているのになぜ話すのか、という質問も飛んだ。

「誠実であるべきという思いがある。情報が何も出ないことに、不満の声が出ていることも聞いた。質問されたことに嘘は言えない。事実を話したことが、誰かをないがしろにすることになるとも思わない。ここにいる報道陣のみなさんも、知る機会を得てしかるべきだと思う」

 ロバーツ監督は、交渉を秘密裏に進めたことで批判が集中していた大谷をかばう気持ちもあったのだろうか。いずれにしろ、大谷に向いていた目がこの会見で一気に同監督に集まり、風よけになっていたのは事実だった。

史上最大のスターを受け入れる「覚悟」

 約20分間の会見中には、大谷が普段からメディア対応を制限していることに関しての質問も飛んだ。エンゼルス時代は登板した日には試合後に会見をするが、それ以外はほとんど話をすることがないというのは、米国で広く知られたことだった。

「それについてはミーティングでは話が出なかった。ただ彼と所属球団の間で話し合うべきことだと思う。広報担当も交えて話し合い、彼自身にとって何がベストなのかを考えないといけない。と同時に野球界にとって何がベストかも考えなければならないと思う。何が正しい答えなのか、今はわからない」

【次ページ】 エンゼルス残留の可能性もあった…

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