濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
薬物逮捕から回復中の母が観戦に…BreakingDownの“不良ではない”実力派・外枦保尋斗「負けたらやめる覚悟でした」 プロ対抗戦で生まれたドラマ
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byBreakingDown
posted2023/12/11 17:01
BreakingDownにて杉本祥に勝利を収めた“実力派”外枦保尋斗(右)
ブレイキングダウンがきっかけで就職
ブレイキングダウンは一視聴者として見ていた。目に留まったのが朝倉未来・海兄弟と同じ『THE OUTSIDER』で名を馳せた萩原裕介。強さにも佇まいにも惹かれた。調べてみると萩原工業という会社を経営しているという。「この人の下で働きたい」と社員募集に応募すると採用になった。この春のことだ。名古屋に住んでいた細川は萩原の運転手兼付き人に抜擢され、会社のある群馬と萩原が住む東京を行き来する生活を送る。
前大会、つまり『BreakingDown9』で各地域の喧嘩自慢を集めた団体戦トーナメントが企画されると、北関東チームの監督を務める萩原から代表に選出される。子供時代に空手をやっていただけだし、喧嘩の話もしたことがなかったのに。
「社長の考えは、まだまだ自分では分からないですね。実は会社の面接もそうでした。僕の評価は、面接官5人のうち4人が×だったそうです。ポケットに手を突っ込んで“~っす”みたいな話し方をしてましたから(苦笑)。でも社長だけ、評価が◎だったと聞きました」
ブレイキングダウンとの契約金は1000万円
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社長の期待に応え初戦に勝利すると、今度は関連企画にもエントリー。喧嘩自慢100人を集めて最強を決めるというもので、細川は見事に勝ち抜きブレイキングダウンとの正式契約を果たした。契約金は1000万円。
「最初の試合から100人企画、今回の試合と休む間もなくて、1000万は手付かずです。遊びに行く暇もないので、町で声をかけられたみたいな経験もない。SNSのフォロワーは増えましたけど。正直、今の自分の状況には実感がないというか。紀左衛門さんに勝ったからといって、これから格闘家としてやっていくかどうかも決めてないので。ブレイキングダウンで名前が知られるようになって、それが会社のためにもなればいいなって。今はそういう気持ちですね」
才賀紀左衛門を右一発で失神させた男は、怒涛の日々をただただ夢中で走っている。これもやはり、ブレイキングダウンだからこそのドラマ。細川や外枦保やYURAが蔑まれなければいけない理由はどこにもない。彼らは彼らの人生を懸命に生きている。