濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
薬物逮捕から回復中の母が観戦に…BreakingDownの“不良ではない”実力派・外枦保尋斗「負けたらやめる覚悟でした」 プロ対抗戦で生まれたドラマ
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byBreakingDown
posted2023/12/11 17:01
BreakingDownにて杉本祥に勝利を収めた“実力派”外枦保尋斗(右)
プロ参戦は「ブレイキングダウンの底上げにもなる」
「ブレイキングダウンの勝利という結果で、また賛否が生まれると思います。(ブレイキングダウンを)よく思ってないプロ団体、ウチなら勝てるよって方は次の大会で対抗戦やりましょう。プロのトップ選手が格の違いを見せつけにきてくれれば、ブレイキングダウンの底上げにもなる」
格闘技界が嫌ってくれたら、それもブレイキングダウンのためになる。そういうところまで考えているのだ。
ただブレイキングダウンで闘う以上は、どんな選手でも“1分間の闘い”に対応する必要がある。外枦保はブレイキングダウンと1ラウンド3分、5分といった格闘技を比べると「まったくの別競技といってもいいくらい」だと言う。
「1分間は短いですけど、それでも最初から最後まで全力でラッシュしたら体力がもたないです。大事なのはメリハリ。攻めるところは攻めて、(相手の動きを)見るところは見る。狙いを定めて打ち抜くというのも重要ですね。それを1分間の中でやるんです」
才賀紀左衛門に勝利した男
ブレイキングダウンがプロより強いとか弱いとかではなく、ブレイキングダウンにはブレイキングダウンの強さがあるということだろう。ブレイキングダウンの選手だから、1分間の闘いでは負けられないということもある。「あんなもの格闘技じゃない」と言われることもあるブレイキングダウン。しかし外枦保のように、この舞台に人生をかけている者もいる。
言い換えるなら、ブレイキングダウンだからこそのストーリーでありドラマだ。K-1などでの実績がある才賀紀左衛門を倒してプロ対抗戦勝ち越しを決めたのは細川一颯。ブレイキングダウンがなかったら、彼はグローブをつけてケージに入ることすらなかった。
格闘技経験は6歳から11歳まで学んだ空手。それ以降はやっていない。闘うとしたら喧嘩だけだった。
「自分から喧嘩売ったりはしなかったですけど。お祭りの日とか、絡まれることがあるんですよ。そういう時は引かなかったですね」
そのことで気持ちは鍛えられたが、格闘技に活きているかどうかは分からないと率直に言う。彼は今回がブレイキングダウン2戦目だった。もともと、格闘技で世に出るつもりもなかった。