ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
ソフトバンクからの戦力外通告に「大きなショックはなかった」…DeNA加入、森唯斗31歳が明かす「横浜を選んだ理由」「柳田悠岐からの“宣戦布告”」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byYu Saito
posted2023/12/05 11:00
10年間在籍したソフトバンクを去り、DeNAに加入した森唯斗。31歳で横浜へとやってきた森に話を聞いた
熱い気持ちが伝わってくるような口調。この数年は、結果が伴わず塗炭の苦しみを味わった。故障でもないのに長い間ファームで過ごす日々は、ソフトバンクに入団して以来、初めてのことだった。ただそこで、森の野球観に変化も芽生えたという。
「この数年は悔しさばかりで、でも逆にその経験があったからこそ、もう一度這い上がろうって強い気持ちが生まれたんですよ。今まであまりなかった、若い選手たちとファームで接する機会も増えて、彼らがどんな思いで野球をやっているのかすごく考えさせられたし、自分の引き出しが増えたような気がします。選手としては活躍できませんでしたが、いい経験じゃないですけど、これを力にしたいなって思ったんです」
ファームにいたからこそ感じられた、ハングリー精神。真っすぐな目で森はこちらに語ってくれたが、それはまるで自分に言い聞かせるような口調だった。
「とにかく今はチームの優勝しか考えていません。個人的な成績というよりも、1年間しっかり一軍にいて、チームの力になることですね」
そう言う森だが、あえて「個人的に成し遂げたいこと」を尋ねると、しばし思案して口を開いた。
「やっぱり交流戦で、ホークスに投げたいという想いは自分の中に強くありますね」
柳田のエール「またバックスクリーンに当てる」
常勝軍団の一時代を築いた人間だからこそ、あの強い古巣に投げてみたい。
「じつは柳田(悠岐)さんとお会いする機会があって、交流戦で対戦したいねって話はしました。柳田さんは『またバックスクリーンに当てる』と言っていましたね」
柳田とハマスタとバックスクリーンといえば、思い当たる節があるが、森の実力を認めるからこその最高のエールだろう。
「もちろん僕は、そこで死ぬ気で抑えていきたいです」
来季のソフトバンク戦はハマスタ開催。森が期待に応えられるピッチングができれば、きっと対戦は実現するはずだ。枯渇することのない野球への情熱を燃やしに燃やし、森の横浜を舞台にした挑戦がまもなく始まる――。