JリーグPRESSBACK NUMBER

「ワシは根に持たん」“問題児覚醒と絶妙コンバート”の昇格請負人…石崎信弘65歳が選手に愛されるワケ「“やってみい!”いう感じでね」 

text by

ひぐらしひなつ

ひぐらしひなつHinatsu Higurashi

PROFILE

photograph byJIJI PRESS

posted2023/12/05 11:01

「ワシは根に持たん」“問題児覚醒と絶妙コンバート”の昇格請負人…石崎信弘65歳が選手に愛されるワケ「“やってみい!”いう感じでね」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2011年、コンサドーレ札幌をJ1昇格に導いて胴上げされる石﨑信弘監督

 2004年にアカデミーからトップ昇格したFC東京では出場機会を得られず、1年でレイソルに移籍。そのシーズンも8試合出場無得点にとどまっていたが、チームがJ2に降格した2006年、監督に就任した石﨑の下で、李は蕾(つぼみ)を開きはじめた。

 ターニングポイントとなったのは4月22日のJ2第11節、函館市千代台公園陸上競技場で開催されたコンサドーレ札幌戦だ。9分にフッキの得点で先制され苦しいゲームを強いられていたレイソルだが、66分に李の挙げた同点弾を境に勢いを盛り返すと、終了間際に鈴木将太の追加点で逆転勝利をものにした。

「たまたまそれまで出ていた選手が出場停止か何かでいなくなったからメンバーに入れたんだよね。キーパーがボールを取ろうとしたところに頭から突っ込んでいった、それがチュンソンのJ初ゴール。それからアイツはどんどん頭角を現していったんだ」

“問題児”だけでなく、コンバートでも新境地を

 そのシーズンの李は31試合に出場して8得点をマークし、レイソルのJ1復帰に貢献。翌年からのJ1でも出場と得点を重ね、日の丸を背負うプレーヤーになった。

「最初はひどかったけどコツコツやって、あのヘディングシュートを決めてからグンと来たんだよ。それでみんなの信頼を得た」

 他の多くの監督であればある程度のところで見切りをつけそうな選手に対しても、石﨑は手厚い。いわゆる“問題児”に限らず、単にポジション争いの中で埋もれている才能を、何らかのきっかけを与えることで巧みに引き出していく。

 その手法のひとつがポジションコンバートだった。過去に石﨑の手によって主戦場を移され、新たな持ち場で開花した選手は多い。

 現在は指導者となっている山根巌も、1999年に大分トリニータで石﨑と出会い、ボランチに配置されてボール奪取能力を磨かれた。山根はその後も、川崎フロンターレからレイソルへと石﨑を追って移籍する。一時は現役引退を決めていたところから石﨑に誘われて加入したレイソルでは、不動のボランチとして45試合に出場し、チームのJ1昇格を後押しした。

ワシ、能力の高い選手はどこでも出来ると思うんだよね

 北海道コンサドーレ札幌でキャプテンを務める宮澤裕樹も、センターフォワードからボランチへとコンバートされた一人だ。

【次ページ】 あんまり躊躇いなく「やってみい」いう感じでね

BACK 1 2 3 4 NEXT
石﨑信弘
柏レイソル
モンテディオ山形
北海道コンサドーレ札幌
李忠成
大谷秀和
川西翔太
宮澤裕樹

Jリーグの前後の記事

ページトップ