- #1
- #2
卓球PRESSBACK NUMBER
出産から1年、平野早矢香(38歳)が初めて明かした“流産の過去”「言われてからの1週間は…」つわり、母乳問題も…元卓球日本代表と娘の話
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byL)Kiichi Matsumoto、R)本人提供
posted2023/12/02 11:02
ロンドン五輪の卓球女子団体銀メダリスト平野早矢香さん。昨年第一子を出産し、現在は一児の母だ
平野 できれば30歳くらいには子どもを欲しいなというのは思っていました。とはいえ、卓球の現役を続けながら出産して復帰するというイメージは持てませんでしたし、いつ引退するか決めていたわけではありません。
――引退したのは31歳だった2016年ですよね。
平野 引退してからは、結婚よりむしろ子どもが欲しいという思いの方が先にありましたね。だから、いい人と巡り合って結婚して、子どもに恵まれればいいなと思ってましたけど、それもご縁。人にもよく『卓球より難しい』と言われましたが本当にその通りだと思っていました。
初めて明かした“流産の過去”「言われてからの1週間は…」
平野さんは2021年1月に結婚し、2022年12月が初産だったが、実はこの間に一度、流産を経験している。流産について語ったのは今回のインタビューが初めて。
「思いもよらない経験でしたが、そういうことがあったからこそ妊娠・出産の難しさが身をもって分かりました」と、当時の辛かった心境を語ってくれた。
――まさか自分が、という感じだったのですか?
平野 私はアスリートでしたから、体力や体の強さには自信がありました。ですから、正直なところ自分が流産するとはまったく思っていなかったんです。定期検診の6週目ぐらいで心拍が確認できず、お医者様に『あと2週間くらいで確認できなかったら今回は難しい』と言われた時の衝撃はとても大きいものでした。
――思い悩む日々だったと思います。
平野 1週間後にまた来てくださいと言われてからの1週間は、とてつもないショックを受けた状態でした。最終的に『今回はダメでした』と言われてからの方が受け入れることはできたかなと思います。でも、赤ちゃんは育っていないのに、つわりがひどかったので、それも精神的にすごく辛かったですね。流産の手術をしたので体はもちろんきつかったですが、心がもっとしんどかったです。
――健康であれば乗り越えられるというものではない、ということですね。
平野 体を鍛えていてもつわりは別ものですね。私は現役時代、体調が悪くても食事はしっかり摂れる方だったんですよ。だから、つわりの時はそもそも食べられない辛さもあるし、今まで経験したことのない、いつ終わるか分からない気持ち悪さがありました。
――つわりがある中でテレビの仕事をしていたのは大変でしたね。
平野 生放送の時にはいつ吐き気が来るか分からないので、タオルを横に置いてゴミ袋なども用意していました。一度流産しているので、安定期に入るまでなかなか公表もできませんでした。ただ、公表しないと仕事の調整やお断りをするのも難しくなるので、安定期に入ってからのタイミングで公表しました。