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女流棋士・山根ことみ(25歳)「愛にまつわる二、三の事柄」…引っ込み思案の少女の運命を変えたひと言「他のことはもういい、私は見つけた」 

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北野新太

北野新太Arata Kitano

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photograph byAsami Enomoto

posted2023/11/29 17:01

女流棋士・山根ことみ(25歳)「愛にまつわる二、三の事柄」…引っ込み思案の少女の運命を変えたひと言「他のことはもういい、私は見つけた」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

11月24日に女流三段になった山根ことみ(25歳)。愛媛で将棋の世界に没頭した

「ドアを開けて無言でいたら、席主の児島有一郎さんに『こんにちは、だよね?』って。うまく言葉を使えなくて団体行動も苦手だった私は、将棋と出会って野生の子から普通の子になったのかもしれません。

 初日に児島先生と八枚落ちを指して、一手詰の詰将棋を解いたら、もう将棋が大好きでした。好きになっていた。

 言われて続けていた空手もピアノもすぐ辞めて、週7でセンターに通うようになりました。他のことはもういい。私は見つけたんだ、と思えたんです。

 始める前まではいろんな松山の記憶があります。家族で菜の花畑まで出掛けたり、海で釣りをしたり、山で蝉の抜け殻を集めたり。とってもカラフルなんですけど、武市先生に教わった日から将棋しか記憶になくて。見える景色は変わって。ずっと今に続いてる。いつも自分の中に将棋があるんです」

母が迎えに来ても「全部解けるまで帰らんから」

 強くなりたい。好きなことなら勝ちたいと思った。小学6年の頃には全国大会で腕自慢の男子たちを倒す存在になっていた。

 夢中だった詰将棋が育む終盤力は鋭利な斬れ味を誇っていた。

「毎日、教室で10問解くんですけど、全然足りなくて。児島先生から詰将棋ファイルを奪い取ってました。母が迎えに来ても『全部解けるまで帰らんから』って。ちょっと異常な子だったと思います」

 中学生になると、将棋以外の道など考えられなくなった。偏愛の対象には昭和の大名人が遺した全3巻の傑作棋書『大山康晴全集』も仲間入りした。

【続きを読む】雑誌が読み放題のサブスク「NumberPREMIER」内の女流棋士・山根ことみ、愛にまつわる二、三の事柄「他のことはもういい、私は見つけた」…『大山康晴全集』、夫・本田奎、そしてビートルズ。で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。

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