猛牛のささやきBACK NUMBER
「代走で準備しといてくれ」に仰天サプライズが…オリックス・T-岡田が明かした「岡田彰布と中嶋聡」“二人の恩師”が操る言葉のマジック
posted2023/11/23 11:03
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kiichi Matsumoto
59年ぶりの関西ダービーとなった今年の日本シリーズは、阪神・岡田彰布監督、オリックス・中嶋聡監督、両指揮官の対照的な姿が見られたシリーズでもあった。
その一つが打線。日本シリーズに限らず、シーズン中から岡田監督は打順をほぼ固定した。一方、中嶋監督は、選手のコンディションや相手投手との兼ね合いなどいくつもの判断材料をもとに、出場する選手も打順も変わる日替わり打線を組んだ。中嶋監督は就任1年目からその戦い方を貫き、今年はレギュラーシーズン143試合で136通りもの先発オーダーを組んでリーグ3連覇に導いた。
選手との接し方も対照的だ。練習中、グラウンドを動き回り、投手、野手関係なく様々な選手に声をかけ、談笑する中嶋監督に対し、岡田監督が直接選手に声をかけることは多くない。
「T-岡田」誕生のきっかけ
両指揮官のもとで戦った経験のあるオリックスのT-岡田に、2人との印象的なエピソードを聞いた際の答えにも、その違いは表れていた。
T-岡田にとって、岡田監督は縁深い監督だ。「T-岡田」という登録名になったのも、2009年オフに岡田彰布監督がオリックスの指揮官に就任したことがきっかけだった。「岡田」が被って紛らわしいからと、当時入団4年目だった岡田貴弘の登録名を公募。「貴弘」と恐竜の「ティラノサウルス」にかけて「T-岡田」に決まったといういきさつがある。
2010年にはそのT-岡田が開花し、33本塁打を記録して初めて本塁打王を獲得した。
「岡田さんにああやって我慢して使ってもらえたから今があるので、僕のプロ野球人生を切り開いてくれた、恩師の一人です」と今でも感謝する。