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「代走で準備しといてくれ」に仰天サプライズが…オリックス・T-岡田が明かした「岡田彰布と中嶋聡」“二人の恩師”が操る言葉のマジック 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/11/23 11:03

「代走で準備しといてくれ」に仰天サプライズが…オリックス・T-岡田が明かした「岡田彰布と中嶋聡」“二人の恩師”が操る言葉のマジック<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

T-岡田の登場時は、オリックスファンのボルテージが最高潮に 

「あんなとこで一発いらん」新聞伝いの言葉

 そのT-岡田に、岡田監督の印象に残った言葉やエピソードを聞くと、「うーん、怒られることが多かった気がしますけど……」と言いながら少し考え、挙げたのが、岡田監督就任2年目だった2011年のオープン戦での出来事だった。

「たぶん沖縄でのオープン戦だったと思うんですけど、確か1打席目に満塁ホームランを打って、そのあとの打席でまた1アウト満塁だったか、そういうチャンスで打席が回ってきた時に、惜しい内野フライだったんです。そのあと、新聞伝いですけど、『あんなんホームラン狙わんと、外野の犠牲フライでええねん。あんなとこで一発いらん』みたいな感じのことを言われました。

 一発を狙ったわけじゃないんですけどね(苦笑)。1打席目にホームランを打ったから、もう一本打ってやろうと狙っていたと思われたのかもしれないですね。チームバッティングとして何がベストか、というのを言いたかったのかなと思います。それが記憶に残っていますね。なんで印象に残ってるのか、わかんないんですけど」

 3年間岡田監督のもとでプレーした中で、一番印象に残っているのが新聞伝いの言葉だったというのが、岡田監督と選手の距離感をうかがわせる。

 それでいて、選手のことをよく見ていて、時に粋な采配を振るから、選手は心を掴まれるのかもしれない。

「代走で準備しといてくれ」の真意は…

 粋な采配といえば中嶋監督も。その一つが、リーグ3連覇を決めた今年9月20日のT-岡田の起用だった。

 T-岡田は今季、1月の自主トレで右脇腹付近を痛めて出遅れ、夏場には体調不良などもあり、それまで一軍出場は9試合にとどまっていた。しかし、マジックが2となり、勝てば優勝が決まる9月20日のロッテ戦で、中嶋監督は約2カ月ぶりにT-岡田を昇格させた。

 その日の試合前練習で、T-岡田は監督にこう声をかけられた。

「今日は“代走”で準備しといてくれ」

 一瞬「え?」と思ったが、「いつもの冗談やな」と理解した。

「あ、代走すか?(笑)じゃあ、レオ(レアンドロ・セデーニョ)の代走で準備しときます」

【次ページ】 低迷期を支えたレジェンド

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