野球のぼせもんBACK NUMBER
松田宣浩のナゾ…本人直撃「本当は寡黙なのに、元気キャラ無理してた?」明かした“気になる”今後「中1長男の野球に熱中」「芸能人でもないし」
posted2023/11/13 11:04
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Miki Fukano
右拳を突き上げて「熱男~!」と叫んでファンにパワーのお裾分けをする。とびきりの元気と笑顔で球場を照らしていた。
松田宣浩はいま、18年間の現役生活を「夢のようだった」を振り返る。
「本人が言うのはおかしいかもしれないけど、こんな野球選手はもう出てこないんじゃないですか。本当に周りの人たちや、タイミングに恵まれたと思います。自分の持っている以上の力を出せて301本塁打とか1800本以上のヒットを打てましたが、今後はもっとすごい数字を残す選手はいくらでも出てくるでしょう。だけど、こんなに変わったキャラは野球界にまた出てくるかな? だってこんな野球選手、現実にはおらんやろってタイプじゃないですか(笑)。だから自分でも18年間夢を見てたんじゃないかと思うんです。でも、それが実際にいた。しかも自分自身だった。この18年間、後悔するポイントなんてどこにもあるはずがない。ただただ幸せでした」
じつは寡黙でシャイだった…
そんな松田も、プロ入り当初は現在のような元気を前面に出すキャラクターではなかった。どちらかといえば寡黙でシャイといってよかった。
転機はソフトバンク時代の先輩でチームの精神的支柱だった川崎宗則が2011年オフにメジャー挑戦する際に後継者として指名されたこと。その翌年からお立ち台に上がると最後に自らマイクを握り、観客も巻き込んだパフォーマンスを行うようになったことで“とにかく明るい松田”がファンにも定着した。その後、2015年に「熱男」というチームスローガンが生まれ運命的な出合いを果たし、ものの見事に自分自身の代名詞として使うようになっていった。
そのような経緯を知っているからこそ、思う。
熱男はある意味、作り出されたキャラクターだった。それならば不世出ということはあり得ないのではないか。人はどうすれば熱男になれるのか。その答えは松田自身が持っているはずだと思い、自分の殻を破っていくために必要なものは何かと問うてみた。
「演じる、でしょうね。演じきることです」
そのタイミングも重要だと、言葉を継ぐ。