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ソフトバンク最強時代は終わったのか? 松田宣浩がズバリ語る“チーム弱体化”の原因「オリックスと差がついた」「なぜスイッチを入れんのかな」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byMiki Fukano
posted2023/11/13 11:02
今シーズン限りで現役を引退した松田宣浩がロングインタビューに応じた
「クライマックスシリーズのファーストステージの3試合(ロッテ戦)を見たけど、寂しかったよね。みんなは野球選手だから野球で頑張る、打って守って走ればいいって思うでしょ。だけど、それって12球団の選手が当たり前にやることなんです。だから差は出ない。僕がいた頃のホークスはベンチの盛り上がりや一体感がすごかった。特に短期決戦は。シーズンは自分の成績のこともあるけど、短期決戦は違う。当時は内川(聖一)さんも『短期決戦はどれだけ打つかじゃなくて、どこで打つか』と言っていたように、シーズンとは考え方を変えなきゃいけない。誰かのヒット1本でも心にスイッチを入れて、点火させて、自分が打ったかのように喜ぶ。点を取ればベンチから飛び出すとか。シーズンとは違った姿で戦うのが僕らは当たり前でした。
でも、今年のホークスはレギュラーシーズンと同じように戦っていた。なぜスイッチを入れんのかな、誰も演じなかったのかな、バカになってチームのためにやれる選手がいなかったのかなって。特に負けた2試合でね。勝っているときは誰でも声は出るんです。キツイ状況の時ほど出来るのかどうか。それって結構エネルギー、体力がいる。でも、冷めてたらチームとして成り立たない。チームのために何かしようと思って戦えば、ベンチに座ってる暇なんてないはずなんですよ。3時間半ごとき」
選手の声「松田さんのようにやりたいけど…」に本音
ソフトバンクの選手たちからは今年、「松田さんのようにやらなきゃと思うけど、難しい」といった趣旨の言葉を何度も耳にした。
その事実を松田に伝えた。
すると――。
「17年間ホークスにいて、こんな感じでやれば……という道は置いていったつもりなので。あとはやるかやらないか。後輩には受け継いで欲しかったな、っていう思いはありますけどね」
ずっと熱を帯びていた松田の声色もこの時ばかりは少し違っていた。
「ギータ(柳田悠岐)と(今宮)健太と(中村)晃がまだレギュラーを張って、ずっと第一線でやっている。若い世代がもっと責任を感じてやらないといけないかな。若い選手もいいものは持っている。ただ、立場は与えられるものじゃなくて自分で掴むものだから」
もし松田がどんな形であれソフトバンクに残っていれば……筆者もそんなことを何度思っただろうか。
そんな松田はなぜ「もう1年」に拘り、ソフトバンクを去って巨人に移籍をしたのか。そして巨人というチームで一体何を見たのだろうか。
〈つづく〉