フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
「ゼロからスタート」鍵山優真(20歳)の1年間のブランクからの新たな挑戦…ハイレベルな復帰戦、今季は「ネイサンがたくさんいるという状態」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2023/11/07 11:05
フランス大会にて2年ぶりにGP大会に復帰した鍵山優真
鍵山の苦笑い「ネイサンがたくさんいるという状態」
マリニンの高いジャンプ能力はすでにわかっていたことだが、シャオ・イム・ファは今季からジャンプの難易度と安定度を驚くほどレベルアップしてきた。二人ともSP、フリーともに4ルッツを組み込み、フリーでは4回転を4本成功させるという高レベルの戦いだった。
「こうたくさんの4回転ジャンプを入れた中で安定する演技というのは、宇野(昌磨)選手がトップを引っ張っていく存在だったと思うんですけど……それに加えてまた高難度で安定した演技をする選手がたくさん出てきた。今まででいうとネイサン(・チェン)がたくさんいるという状態と感じています」と鍵山は苦笑いをした。
2月から氷上練習を再開…時間をかけた理由
鍵山自身、怪我をする前はフリーに4ループなど4本の4回転を組み入れていて、4ルッツにも挑戦をしていた。2月に氷上でのトレーニングを再開してから、足首の状態を確認しながら時間をかけて1回転、2回転ジャンプから戻していったのだという。4回転を再び跳べるようになったのは、5月になってからだった。あえて時間をかけたのは、もちろん同じ怪我を繰り返さないためだ。
この大会ではSPで4サルコウ、フリーで4サルコウと4トウループそれぞれ1本ずつという構成にしたが、フリーでアクセルなどのミスが出たためもあり、総合273.14と2位と30ポイント以上の差がついた。
「今シーズン、本当に厳しいハイレベルなシーズンになっていくと思うんですよ。まあ300点というのはぼくもできないことはないと思っているし、この大会を通じて足りないものを伸ばしていったら300点もしっかり見えてくるので、そこらへん焦らずに自分のやるべきことをしっかり見つけて、次のNHK杯まであまり時間ないですけどしっかり練習して、ファイナル目指して頑張りたいと思っています」
鍵山の自己ベストスコアは、北京オリンピックで出した310.05。今回のトップ二人がベストな演技をしても、鍵山のコンデイションが以前のレベルに戻れば十分互角に戦える。