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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「もりしたー、ホンマは岡田監督、嫌いなん違うかー」甲子園で見た阪神ファンの“TVに映らない”ディープな習性「セデーニョ!っちゅう顔や」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/11/06 17:54
38年ぶりの日本一を達成した阪神タイガース。甲子園、京セラドーム、道頓堀付近を含めて、ファンのディープな習性を見られた
「うわ、セデーニョや、あかんであいつ」
すると隣の兄ちゃんが、
「なにがあかんねん?」
「顔がいかついねん」
「どんな顔してるねん?」
「セデーニョ! っちゅう顔や」
漫才の掛け合いみたいなテンポで、ナンセンスな会話が弾むのだ。
ナンセンスすぎる家族連れの会話(標準語版)
ナンセンスと言えば、第4戦で筆者の真後ろにいた家族連れが凄かった。
60がらみの男性が妻、息子と観戦していて、その会話が最強だった。現地語でそのまま紹介すると――NumberWebの読者各位には刺激が強いと思うので、標準語に翻訳すると……。
「さきほど、喫煙室に煙草を喫いに行ったら、隣の男性が、阪神に点が入って立ち上がった拍子に、おならをしてやった、と言っていた。お父さんも、ぜひそうしたいと思うのだが、そういう時に限って点が入らない、難しいものだ」
となる。これに対して妻は、「難しいものやねえ」と夫婦漫才の相方のように穏やかに相槌を打つ。
その途端、阪神に得点が入り、アルプス席は総立ちになった。筆者は点が入ったこと以上に、そのおっさんが、立ち上がった拍子にちゃんと「出た」のか、気になったのだが。
「あかんもんやなー、いざというときには出んもんや。難しいなあ」
と言う。妻は「ほんまに難しいものやねえ」と相槌を打ち、さらに続ける。
「せやから言うて、気張りすぎてもいかんしなあ。いくらお父さんでも、それ以上は難しいなあ」