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私生活“ルール厳格化”で部員20人退部…なぜ駿河台大は箱根駅伝初出場の《燃え尽き》から戻ってこられた? 徳本監督「一泡吹かせるレースがしたいですね」
posted2023/11/06 17:01
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph by
Yuki Suenaga
出雲、全日本と2つの駅伝が終わり、少しずつ勢力図が見えてきた100回記念の箱根路。
出場チームの中には、優勝を争う強豪校だけでなく、「箱根駅伝の常連」を目指す中堅&新興校もいる。かつての法政大のエース・徳本一善監督率いる駿河台大もそのひとつ。先月行われた予選会を見事突破し、2年ぶり2回目の出場を決めたのだが、その内部では驚愕の事態が起きていた――?
「いやー、初出場の時より嬉しいです。めちゃくちゃ嬉しい」
箱根駅伝予選会、昭和記念公園でこう喜びの声を漏らしたのは駿河台大学を率いる徳本一善監督だ。駿河台大は12位。今回は13位まで本戦への出場権を得られるため、100回大会の恩恵を受けて本戦へなんとか滑り込んだかたちだ。
2022年の第98回大会、初出場を果たした駿河台大は大きな注目を集めた。かつて法政大学の“茶髪エース”として活躍した異色の監督、そして教員になったあと入学した31歳(当時)の遅咲きランナー・今井隆生らが、日本テレビの中継などで大きくクローズアップされた。
初出場後はなかなか予選会を通過できず…
だが、昨年度チームは失速。予選会ではまさかの19位に沈み、箱根駅伝の出場圏からは「惜しい」とも言えないほど一気に遠ざかってしまった。
そこからいかに復活を果たしたのか。徳本がその道のりの一端を明かす。
「夏合宿でも監督として手ごたえがなかったんですが、1カ月前に急によくなったというか。それまでは今日はこの選手が休む、今日は違う選手が足が痛くて走れない、と日替わりランチのようにトラブルが出てきて……(笑)。選手たちも危機感を持っていたので、『これじゃ箱根には出られない、この流れではダメだ』と話をして、チーム全体で練習することをやめたんです。
選手一人一人に体調やリクエストを聞きながら、お前はこの練習、お前はこの練習で行こうね、と個別にメニューをわけたんです。それで調子が上がるようになった。このやり方が毎回うまくいくとは限らないけど、今回に関しては個々に気を配ったのがすごくいい方向性に働いたのかなと思っています」
ただ、昨年の予選会での惨敗後、いつも強気な徳本も弱気になった時期もあったという。
「今年も(予選会で)15番ぐらいかもしれない、また地道に厳しい1年をやらなきゃいけないっていう思いもありました。でも何度も自問自答して、そうじゃない、と。その分、練習も規律の面でも厳しくなって、特に規律に関しては選手を中心に話し合って、かなり厳しくなったんです」