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MLB日本人初の女性トレーナーがワールドシリーズに! ダイヤモンドバックス谷沢順子を元ヤクルトのマクガフも絶賛「神経系の治療は彼女が一番うまい」
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAyako Oikawa
posted2023/11/06 17:00
ワールドシリーズ進出を果たしたダイヤモンドバックスの快進撃を支えたアスレティックトレーナー兼マニュアルセラピストの谷沢順子さん
野球選手の怪我は多岐に渡るが「基本的な部分、体のことや怪我の原因などはどのスポーツも同じ。陸上選手を見ていた際の陸上コーチや、父(元中日の谷沢健一氏)が受けていた酒マッサージの先生から学んだ本質的な部分が自分の礎になっています」と話す。
陸上では米国の五輪代表のアスレチックトレーナーとしてリオ五輪、東京五輪をはじめ、多くの大会に帯同してきた。競技も体格も怪我の種類も異なる選手たちをケアした経験を大リーグでも大いに活かしている。また野球選手の父を幼い頃から見てきた経験から、怪我の原因を探り、それに対するアプローチの引き出しが多いのも強みだ。
ベテラン選手も谷沢さんを高評価
ダイヤモンドバックスで3塁を守る38歳のベテラン、エバン・ロンゴリアは谷沢さんのケアを受ける一人だ。
「毎日プレーをしていると、ちょっとしたことで痛くなったり、体がきつく感じる。そういう時に怪我の予防のために体をほぐすケアが必要になる。体が硬くなっていたり疲れがあると、その部分から怪我をする確率が高くなるんだ。少しでも違和感があったら、いつもより体に向き合わないといけない。順子はそれに柔軟に対応してくれる」と谷沢さんの技術力を高く評価する。
「一般的な手技に加えて、最新器具を駆使した治療にも長けている。マイクロカレント(微弱電流)の『ブラックボックス』を使ってくれたり、とにかく選択肢が多い。体の状態をみて、各選手にあう治療をしてくれる。とても優秀なトレーナーだ」
ロンゴリアは2008年、23歳で大リーグ昇格し、新人王を獲得したほか、オールスターやゴールドグラブなども受賞している。これまでレイズ、ジャイアンツ、ダイヤモンドバックスの3チームでプレーし、それぞれのチームで日本人トレーナーに接してきた。
「これまでお世話になった日本人トレーナーは、一般的な米国人トレーナーと異なるアプローチを持っている。痛みがある部分だけを治療して、その部分を鍛えましょう、というのが一般的な米国人トレーナーの治療だが、日本人トレーナーは『人間の体はすべてが繋がっている』という発想で治療をしてくれる。痛みや違和感の根本的な原因をみつけて、全身を治療し、どこを鍛えたらいいのか提示してくれる」
元ヤクルトのマクガフ投手も絶賛
痛みがある部分以外も治療をされて、驚きはなかったのだろうか。