NumberPREMIER ExBACK NUMBER
武豊が語るドウデュースとイクイノックス《天皇賞・秋》で518日ぶりの再戦「伸びしろはまだあるなって感覚」「いまは不安がまったくない」
posted2023/10/28 11:00
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph by
Naoya Sanuki
発売中のNumber1083号に掲載の[主戦の矜持]武豊「評価がほしいわけじゃない」より内容を一部抜粋してお届けします。【記事全文はNumberPREMIERにてお読みいただけます】
ドウデュース、ダービー制覇後の道のり
第89代の日本ダービー馬ドウデュースが、この秋の古馬三冠にフル出場を宣言した。その第一歩が10月29日の天皇賞・秋。今年は凱旋門賞に挑戦したのが牝馬のスルーセブンシーズだけだったことが、国内のビッグレースの充実という意味では好影響。
ロンジンワールドベストレースホースランキングのレーティングで世界1位をキープしているイクイノックスをはじめ、札幌記念が想像をはるかに超える強さだったプログノーシス、函館記念とオールカマーを連勝したローシャムパーク、春の天皇賞を制し宝塚記念でも3着と奮闘したジャスティンパレスなど、これだけでも錚々たるメンバー。ほかにも大阪杯の覇者ジャックドール、昨年の牝馬二冠を制したスターズオンアース、無冠ながら常に上位争いに加わっているダノンベルーガなど、現役古馬のオールスターをすべて招集したような、すごい面子がここに揃う。
ドウデュース自身のダービー制覇後の道のりは決して順調とは言えなかった。3歳の秋にダービー馬として凱旋門賞に向かったのは、馬主である(株)キーファーズの松島正昭代表の「私は武豊騎手の夢である凱旋門賞優勝をお手伝いするために馬主になりました」の言葉通りの真っ直ぐな行動だったが、前哨戦のニエル賞を4着、凱旋門賞はブービーの19着と、あまりにも期待とかけ離れた凡退。「ドウデュースらしさが、なぜか2戦ともまったく出なかった」と、鞍上を嘆かせ、松島オーナーの肩もガックリと落ちた。帰国後は、京都記念で格違いの強さを見せつけたかと思えば、その後のドバイ遠征では現地で直前になって歩様を乱してしまったことでの出走取消。ライバル・イクイノックスが走るたびに国際的な評価を高めて行ったのとは対照的な上がり下がりだ。
ダービー以来、518日ぶりの再戦
――今年多くの日本馬が凱旋門賞を避けた理由は分析されていますか?
「やっぱり去年の馬場の影響でしょう。レースの1週前からあれだけの雨が降って、日本では考えられないような不良馬場になったことで、ほとんどの馬たちが力を出せませんでしたからね。天気だけは読めないので、晴雨兼用という意味で今年はスルーセブンシーズが選ばれた感じがしました。今年のパンパンの良馬場を見て、来年はまた盛り上がりそうですよ」
――ドウデュースでまた行きたいという話もされていました。