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将棋PRESSBACK NUMBER
「あああああーーっ!!」「そんなあ!!」藤井聡太“八冠達成の大逆転劇”に響いた悲鳴…記者が見た“テレビに映らなかった”全冠制覇の舞台裏
posted2023/10/18 06:00
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Keiji Ishikawa
ファンが二重三重に列を成す
《10月5日、竜王戦前夜祭:“2人で41歳”同学年対決を前にしたスピーチ》
藤井八冠を称する際の肩書として「竜王・名人」と記されるように――竜王戦は八大タイトルの中でも序列トップとなる最高峰の戦い。優勝賞金4400万円は将棋界最高額のタイトル戦としても知られている。
その挑戦者となったのは、小学校時代から対戦経験のある同学年の伊藤匠七段だ。挑戦者決定戦で永瀬拓矢王座に連勝した伊藤七段は史上初の「5組」から頂上決戦へ。いわゆる「竜王戦ドリーム」を20歳にして体現した。今後の将棋界に「藤井世代」が築き上げられるとすれば、その旗振り役の1人は伊藤七段に――。前夜祭会場のセルリアンタワー東急ホテルに詰めかけたファンの多さ、そして立食パーティーでもその姿を見たいというファンが二重三重に列を成す光景に、2人への期待の大きさを感じた。
伊藤七段と同い年……あっ、すみません
伊藤七段は、小3時の大会での直接対決で勝利して〈藤井くんを泣かせた〉というエピソードがついて回る。ただそれは11年前の話。前夜祭でのスピーチで伊藤七段はこのように語っていた。
「初めてのタイトル戦で分からないことばかりではあるのですが、2日間将棋を指すという経験が初めてでして、どういった感覚なのか、非常に楽しみな気持ちがあります」
伊藤七段にとっては初のタイトル戦でのスピーチ。「ものすごく緊張しています」との初々しい言葉には、会場全体から拍手が起きていた。
一方の藤井竜王は、これが「79局目」となる八大タイトル戦。21歳にしてそれだけの局数を積み重ねた事実に畏敬の念を感じるとともに、スピーチではこんな表現で会場を沸かせる場面も。