箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
実は《怪物ルーキー》だけじゃない?…10年ぶりに箱根路復帰の東農大 “大根踊り”と一緒に年始に見たい「三段ロケットスタート」の可能性
posted2023/10/16 11:03
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph by
Yuki Suenaga
予選突破はじつに10年振り。
あの名物の大根踊りが、箱根駅伝に帰ってくる。
第100回箱根駅伝の予選会で、69回(歴代8位)の出場を誇る東京農業大が11位に入って本戦出場を決めた。記念大会のために例年より3校多く、上位13校に出場権が与えられるなか、その拡大枠に救われたかたちだった。
それもあるのか、陸上競技部を率いる小指徹監督の喜びは控え目だった。
「よかったです。やっぱり、ずいぶんここで学生たちの泣く姿を見てきましたので、今日はこういう感じで結果が出せてよかったと思います。ただ、欲を言えば一桁順位でゴールしたかった。最低13枠に入ればということで、それが最低の目標でしたので、とりあえずは出場できてホッとしています」
ルーキーの快走は「100点満点」
チームの救世主となったのが、ルーキーの前田和摩である。
自身初のハーフマラソン挑戦ながら、日本人トップ(全体9位)となる1時間1分42秒でフィニッシュ。世界で活躍する順大の三浦龍司が3年前の予選会で記録したハーフマラソン20歳以下の日本記録まであと1秒に迫った。
ルーキーの快走に話が及ぶと、監督が笑顔になった。
「もう100点満点ですよ。私も15kmのところで見ていたんですけど、まだ全然余裕があったので、吉田(礼志・3年、全体11位)君まで追いつけるかなと。もともとこのコースだったら、61分くらいで走る力がありますから。設定は62分15秒でしたけど、これくらいで走ってもそんなに驚かないです」
じつは、と話を続ける。
「将来のある子なので、練習をあまりやらせてないんです。やらせたら相当走ると思いますよ。だからあの全日本(大学駅伝の関東選考会)の時も、練習はやってないけどあれだけ走った(1万mの20歳以下日本歴代2位となる28分03秒51をマーク)っていう。能力はものすごいありますね」