箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
実は《怪物ルーキー》だけじゃない?…10年ぶりに箱根路復帰の東農大 “大根踊り”と一緒に年始に見たい「三段ロケットスタート」の可能性
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph byYuki Suenaga
posted2023/10/16 11:03
左から高槻(4年)、前田(1年)、並木(4年)の3人。いずれも1万mで27分台に迫る、大学トップクラスの実力を持つ。箱根本戦で1~3区に並んだら…?
「大根を持った方が一杯いましたね(笑)。応援されて気持ち良かったです。『頑張れ』って言われたら、もうやるしかないなって思えるので。最初から声援もありましたし、道路に出てからもずっと『前田、頑張れ』と言っていただいて。1秒でも前に、最後まで力を絞り出そうと考えてました」
大舞台でも物怖じせず、むしろ周囲の期待を力に変えられる選手なのだろう。
今回は前田の陰に隠れる格好になったが、高槻、並木の2人の4年生も、ともに1万mで28分10秒台の記録を持ち、関東学生連合ですでに箱根を走った経験もある。昨春の学生ハーフで高槻が5位、今年は並木が4位に入るなど、2人ともシード校のエース級と比べても遜色のない力を持ったランナーだ。
そんな二枚看板に前田が加わったことで、東農大への期待値は増すばかり。気の早い話だが、総合成績はひとまず置いて、もし箱根駅伝の1~3区をこの3人が担えば、優勝を争うチームにも序盤は互角の戦いが挑めるのではないだろうか。
「うちは良い選手から並べていくしかない」
監督に箱根でのルーキーの起用法について訊ねると、こんな答えが返ってきた。
「やっぱりそうですね、2区を走らせたいです。それでもしかしたら、区間賞を取るかもしれないですし(笑)。良い選手から並べてという形しかないですよね、うちは」
監督の期待も高まる一方のようだ。東農大は第2回大会から箱根駅伝に出場を続ける古豪で、過去には準優勝にも輝いている。この10年間は声援を送ることすらできずにいた応援団にもさぞ力が入ることだろう。
予選会の翌日に行われたMGC(パリ・オリンピックのマラソン日本代表選考会)では、大学OBの小山直城(HONDA)が優勝を飾った。
なんだろう、この勢いは。東農大の背中を押す、追い風が吹いているかのようだ。