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ゴールドシップ「ゲートからうまく出られなくてな」キック&大出遅れの伝説も再現…アニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』を考察してみた【ウマ娘考察#3】
text by
屋城敦Atsushi Yashiro
photograph by©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会
posted2023/10/20 18:01
ゴールドシップの引退発表を記者会見として描いた第3話。ゴールドシップの描写は信じられないかもしれないが、意外なほど史実通りな点が多い
ゴールドシップは赤五筒を切れば…
ジャパンカップでも10着に敗れたゴールドシップは、<トゥインクル・シリーズ>からの移籍を表明する。その後ゴールドシップがキタサンブラックに語り掛ける回想シーンでは、史実でも有名なエピソードがいくつも盛り込まれている。トーセンジョーダンへのキック、宝塚記念でのゲートでの仁王立ち、舌を出す顔(菊花賞など、多くのレースで舌を出しながら勝っていた)など……。
ちなみに、最後に「集中できなくなってきた」と言うところでマージャンの牌姿が出てくるが、右端の赤五筒を切れば役満・純正九蓮宝燈のテンパイである。
また、過去の有馬記念(作中では馬の点は2つ、以下同)でゴールドシップを破ったという《暴君》はオルフェーヴル、《貴婦人》はジェンティルドンナのことだろう。実際、レース後にもその名前をみずから出している。史実では両者は牡馬クラシック三冠、牝馬三冠を達成している超名馬だ。
実際も「黒い目隠し」で対策
そして迎えた有馬記念。「今年は12万人のファンが集まりました」という実況のセリフがあるように、この年は12万7000人が集まり、徹夜組も出るなど大いに盛り上がっていた。なお、レース実況には、当時中継を担当したフジテレビ・塩原恒夫アナウンサーのフレーズが多く使われている。
1番人気を背負ったゴールドシップは頭まですっぽり覆う黒い目隠しを被ってゲート入りする。じつは史実でも同じような形状の目隠しを使っていて、ゲート入りするまで周囲の光景を見せないことで落ち着かせていたのだ。主人公のキタサンブラックは史実では4番人気。菊花賞勝ちで長距離もこなせることが認知されたが、ファンからはまだ完全に信頼されているとは言い難かったようだ。
レース後には粋な演出も
レースでは、キタサンブラックがハナを切って逃げを打った。キタサンブラックの代名詞とも言える戦法だが、実際に用いられたのはこのレースが初めてである。また、このレースではキタサンブラックだけでなくゴールドシップにもスポットが当てられていて、第3コーナー手前からの大まくりもピックアップされていた。