なお、チーム＜カノープス＞の部室でナイスネイチャがキタサンブラックに出したお茶は、マチカネタンホイザが買ってきたという“蜘蛛茶”。その名前の由来は、おそらくマチカネタンホイザが鼻血で出走除外となったジャパンカップに続き有馬記念を出走取消する原因と言われている蕁麻疹、通称“クモ疹”からだろう。

「3g×5パック」とあるが、出走できなかったジャパンCは枠番が5番、有馬記念は3番だった　©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会

「誰も注目してくれなくても構わない」の裏に「5番人気」

　スッキリした心持ちで菊花賞へ臨むキタサンブラック。史実ではその前にセントライト記念を勝利しており本命不在の中では人気を集めそうではあったが、母父サクラバクシンオーという血統が「長距離には不向きではないか」と敬遠されたのか、単勝5番人気に留まる。それが「誰も注目してくれなくてもいい」という言葉に繋がったのだろう。

最終直線で進路がやや塞がった格好のキタサンブラック（左から2番目）　©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会

　そんな中、キタサンブラックは5番手からレースを進め、目まぐるしく先頭が入れ替わる激しい展開にも惑わされずに最後の直線で前を捉えて突き抜け、GⅠ初勝利を飾る。とくに最後、先行するふたりのあいだにできたわずかな隙を捉えて体を入れる演出は、史実で強引に鼻をねじ込んで進路を切り開いたシーンと比べてみてほしい。

見えた勝利への道筋　©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会

ついに聞こえた「キタサン祭りだぁ～っ！」

ゴールの瞬間　©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会

ゴールの瞬間　©Sankei Shimbun

　アニメでは、キタサンブラック以外にも7番（史実ではスティーグリッツ）の出遅れや出入りの激しい展開、「祭りだ！　これは祭りだ！　キタサン祭りだぁ～っ！」という関西テレビ吉原功兼アナウンサーの名調子のオマージュなど、史実を忠実に再現した多彩な演出が目立っていた。また、観客席には今回も“ますお”と“みなみ”がいて、コースの特徴や菊花賞の始まりを語ってくれていた。