そんな経験から、桑田自身も練習やトレーニングの「意味」や「狙い」を考えるようになった。すると、それと比例してフットボール能力もぐんぐんと伸びていった。

　1年生の終わりからは少しずつ試合に出られるようになった。2年生でチームの主力になると、3年生では関西ベスト11にも選ばれた。4年目はケガの影響もあり、リーグ戦で思ったような活躍こそできなかったが、それでもライバル校との大事な試合、それもここぞの場面でタッチダウンを奪うなど、持ち前の勝負強さを見せることはできた。

大学4年時は副キャプテンを務めるなど、チームのエースに。シーズンはケガで不完全燃焼も、ここぞの勝負強さを見せた／公式HPより

「アメフトはポジションごとで全然求められる能力が違うので、野球との単純比較はできません。でも、少なくとも大学時代に自分のポジションであるワイドレシーバーで、テルに感じたような『この人には敵わんなぁ』という印象を持った相手はいなかったですね」

佐藤はプロ野球の阪神へ、桑田は実業団のパナソニックへ

　そうして4年間の大学生活を終えた2021年。

　通算14本塁打という関西学生リーグ新記録を引っ提げ、4球団競合の末ドラフト1位で阪神に入団した同級生を横目に、桑田もアメフト社会人リーグの超強豪・パナソニックに進んだ。パナソニックは4度の日本選手権制覇の経験を持つ実業団チームで、現在の日本のトップチームのひとつだ。

社会人リーグでもトップチームのひとつであるパナソニックに入団した桑田。ルーキー時代からチームの主力として活躍　Ⓒパナソニック インパルス／HUDDLE

「卒業後は競技を続けるか悩んだんですけど、近くにテルのように日本のトップクラスでプレーしている選手がいる。競技は違いますけど負けたくないなというか、アメフトの世界では自分もトップで戦ってみたいという思いが出てきて。それが決断の理由になりました」

　入社後の桑田は春シーズンからいきなりチームの主力として活躍。日本一をかけた秋シーズンでも勝負どころのトーナメント準決勝で貴重なタッチダウンを奪うなど、ルーキーとは思えぬ存在感を見せる。社会人初年度にもかかわらず、アメフトの日本一決定戦である年始のライスボウルへの出場も決めた。

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