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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「スパイク、打たせてください」と監督に直訴も…バレーボール日本代表の「初代リベロ」西村晃一が歩んだ“異端”の道〈セリエAドタキャン →ビーチ転向〉
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byKoichi Nishimura
posted2023/10/12 11:02
50歳にして現役選手として鍛錬を続ける西村晃一
驚きのビーチバレー転向
02年、西村は28歳の時、まだ世の中にあまり知られていなかったビーチバレーに転向した。周りからは驚きを持って受け止められ、批判も耳に入った。それでも、意に介さなかった。
日本で初めて、プロビーチバレ―ボールチームWINDSを設立し、自分だけの道を進んだ。いまも、第一線でプレーし続け、ビーチバレーに対する愛着は誰よりも強い。その一方で、かつて自分を高めてくれたインドアのバレーボールへの郷愁もあり、バレーボール全体を俯瞰できるようになった。
後輩へのまなざしも温かく、男子日本代表の主将を務める石川祐希からはアマチュアの頃から進路の相談を受け、イタリア挑戦を後押しした。
石川祐希に伝えた思い
以前、西村は石川に言ったことがある。
「日本に帰ってきたら、ビーチバレー、一回やろうね」
思い付きの軽口でもない。石川も西村の思いを分かっているから、こう答えた。
「そうですね。やりたいです」
この言葉だけで十分だった。
いまは、来年夏のパリオリンピックでのメダル獲得に向けて、大切な時期であり、精魂を傾けるときである。石川自身のキャリアと合致すればという条件も百も承知だ。
ただ、西村が日本バレー界のエースに声をかけたのは明快な理由がある。
〈後編へ続く〉