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「ご飯も食べず…すごい落ち込み方でした」セッター関田誠大の心を解きほぐした“同い年”山内晶大の誘い「西田と一緒に大浴場で」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byYuki Seunaga
posted2023/10/04 17:22
もうすぐ30歳となるセッター関田誠大。仲間たちのサポートにより、気持ちをリセットしてコートに立つことができた
「今日(3日のチュニジア戦当日)は、『もう、いい意味でテキトーにやるわ』みたいな感じになっていたのでよかったです。『絶対にそのほうがいいよ』って。勝たないといけないと思いすぎるとガチガチになっちゃうから。『遊び心があるぐらいでやったほうがいいよ』と言ったら、『そうするわ。試合中、また顔がこわばってたりしたら言って』と返ってきました」
肩の痛みのためチュニジア戦では先発を外れ、ベンチから見つめていた山内は、試合中も「もっと遊び心持ってやれ」、「もっと遊んでいいんじゃない?」と関田に声をかけ続けた。
仲間のサポートによって、“関田らしさ”が戻る
この日の関田は試合を通してミドルブロッカーの小野寺太志(サントリーサンバーズ)、高橋健太郎のクイックを多用し、リズムよくサイドアウトを重ねていった。2戦目までつまずいていた第3セットも、変わらずミドルを中心とした攻撃で流れを渡さず、相手に一度もリードされることなくセットカウント3-0で完勝した。
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第4戦からの強豪との対戦に向けて調子を上げさせたかった石川に対しては、ブロックされた後に必ずもう1本トスを上げて決めさせるなど、関田らしい先を見据えたトスも見られた。
試合後は吹っ切れた表情だった。
「正直今日、不安でしたけど。もし負けたらどうしようみたいな気持ちはあった。でもそれを振り切れるような強い気持ちを持ってやろうと。まず自分らしさを出していこうと思って、積極的にクイックを使いました。勝ちにこだわりすぎて自分のよさが出ないより、まず自分のよさを出していこうと。それが今までいい結果につながっていたので」
エジプト戦後は1人で部屋にこもっていたものの、「正直1人でいるのがしんどくて。難しい時間が長かった」と振り返る。関田を1人にしなかった山内たちチームメイトや、家族と連絡をとって話すうちに少しずつ気持ちがリセットされていったという。