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藤井聡太15歳の発言に記者ビックリ…中学時代“いずれタイトルを独占する男“は何を語っていたのか「強くなった先にある深遠さを見ていたい」

posted2023/10/15 20:20

 
藤井聡太15歳の発言に記者ビックリ…中学時代“いずれタイトルを独占する男“は何を語っていたのか「強くなった先にある深遠さを見ていたい」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

藤井聡太15歳のとき。いずれ将棋タイトルを独占する「天才」は当時、何を語っていたか

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北野新太

北野新太Arata Kitano

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JIJI PRESS

 将棋界で前人未到の八大タイトル独占を達成した藤井聡太。プロデビューからわずか7年、21歳2カ月の若さで偉業を成した。そんな天才が無冠だったプロ入り当初、つまり中学3年生の15歳だった頃……。藤井は自身の「才能」と「将棋」についてどんな言葉を残していたのか。『[15歳棋士、驚異の1年を振り返る]藤井聡太「栄光とスニーカーの頃」』(2017年12月20日発売、Number942号掲載)を特別に無料公開します。※肩書はすべて当時のまま

 スーツに合うスニーカーがある?

 そんなバカな。フォーマルスタイルにストリートアイテムなど調和するわけがない。ニューバランスならば似合う、などというファッショニスタの意見など暴論に過ぎないと思ってきた。目の前に藤井聡太という少年が現れるまでは。

「1年間、結果も出せて自信も付きました。プロの環境に慣れてきたかなと感じています。今は強くなることがいちばん大事な時期だと思っているので、長期的なスパンで考えて強くなっていきたいと思います」

 そう語る15歳は、晴れの日も雨の日も、ネイビーのジャケットにグレーのトラウザーズを合わせ、真っ黒なアシックスのスニーカーを履く。色鮮やかなネクタイも締め、背中にはスカイブルーのデイパックというのが対局日の定番の装いである。

 盤の前に着座し、報道陣の視線の中で初手を指し、時に10時間以上も戦い続ける。誰も発見出来なかった一手を指して勝利すれば、感想戦で微笑を浮かべ、例のアシックスを再び履いて帰途に就く。藤井の「スーツ×スニーカー」には不思議と違和感がない。むしろ実に似合っているのである。

「14歳のプロ棋士」が世間を震撼

 2017年は将棋史に残る激動の1年だった。将棋ソフト不正疑惑騒動で暗い年明けを迎えたが、6月に77歳で引退した史上最年長棋士の加藤一二三九段は、類い稀なキャラクターによって「ひふみん」なる愛称を得て、お茶の間の人気者になった。12月には羽生善治棋聖が渡辺明竜王(いずれも当時)から竜王位を奪還して永世竜王となり、7つある永世称号をコンプリートする史上初の「永世七冠」に輝いた。

 将棋、あるいは棋士という特殊な存在が一般に広く認知される稀有な年となったが、人々が最も熱狂したのは、史上最年少棋士による史上最多連勝記録の樹立である。

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