山村　小野寺くんは日本代表ではセッター関田くんの横でブロックするケースが多いですよね。先ほども言いましたが、ブロックにおいて関田くんをいかにフォローするかというのは日本にとって大きな課題です。でも、それだけでは逆サイドの相手オポジットへの警戒が薄れてしまう。関田くんの横もカバーしつつ、オポジットに上がったボールにも対応できるのが小野寺くんの凄さです。

　石川（祐希）くんや（高橋）藍くんがオポジットに対しても1枚でも対応できるだけのブロック力、感性があるので任せても勝負できますが、ポイントを獲るならば小野寺くんが行ったほうがより確率は上がる。それを難なくできている彼は、かなり難しい要求にも応えているということ。（今季から加入する）サントリーでも同じことを要求すると思いますし、それができる選手だと期待もしています。

セッター関田（左）とブロックに飛ぶ小野寺　©︎FIVB

――オールラウンドでリーディング能力もある。あえて課題を挙げるなら？

山村　これはあくまで僕の見解ですが……何でもできるし、能力が高いから、劣勢時に人のせいにしがちなところがある。昨季まで所属したJTサンダーズでキャプテンを務めていたのは、責任ある立場にすることで周りに向ける目を変えてほしいという意図もあったと思います。本人が理解しているかどうか、そこは課題かもしれません。

　自分の能力に自信があり、ミスが少ないから、チームメイトのミスを許せないんだろうなという表情を見せることがありました。でもそこで、「何でそういうミスをするの？」と責めるのではなく、そこから救いだしてチームがよりよい方向へ向かっていくかを考えられる選手になったらもっと価値が上がる。サントリーではぜひそうなってほしいですね。きっと周りの選手たちが変えてくれるはずです（笑）。

「うちに来てくれたら…」期待のラリー

――ミドル最年少のエバデダン・ラリー（23歳／195cm）選手はどんな特徴を持つ選手ですか？

山村　一番、攻撃力があるんじゃないかと思いますね。ズバ抜けて高さがあるわけではないけれど、コース幅・ヒット力・リズム・タイミングがある。リズムの取り方やテンポのずらし方、合わせ方がめちゃくちゃうまい選手で、ボディバランスがいいので、しなやかなに打ち分けられる。「フロント（前衛）を3つ回してくれ」と途中交代でも自信を持ってと送り込める選手ですね。

ポテンシャルの高さを感じさせるエバデダン・ラリー　©︎Yuki Suenaga

　ブロックもスプリットステップ（細かいジャンプ）を使ってどこでも行けるので、（元日本代表の）富松（崇彰）ぐらいのブロック力をつけていけばめちゃくちゃ楽しみな選手。うちのチームに来てくれたらよかったのになあ（笑） ※ラリーは昨季、筑波大からパンサーズへ加入。

――ミドルブロッカーに注目しながらバレーボールを見ると、いろいろなことが見えてきますね。

山村　そうです。（コートの）横からだけではなく縦からの観戦が楽しくなってくるんですよ。

【次ページ】　「選手の顔が見えるのは“横”だけど…」