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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「中学まで野球部」「身長2mなのに器用」石川祐希や高橋藍らを支える男子バレーの“大男たち”とは? 205cm山村宏太が“忖度なし”解説
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byNewspix.pl/AFLO
posted2023/09/29 17:57
関田誠大、西田有志と共にネーションズリーグ表彰式でポーズを決めるミドルブロッカーの山内晶大(6番)、高橋健太郎(10番)、小野寺太志(2番)
――横と縦、どんな違いがありますか?
山村 ファンの方々は「横」から見るほうが選手の顔がよく見えるし、ボールの動き自体は見やすい。でも“人の動き”を見て楽しいのは「縦」ですね。選手が相手コートや自チームのコートを見るのと同じ目線で、どんなふうに動いて、どう仕掛けているのか。たとえば攻撃に入る時、ミドルの選手に何人のブロッカーがついてきたか。決まったとしたらブロックの上から打ったのか、ブロックの間だったのか……そういう細かいところまで見るようになると、バレーボールがとても面白くなるはずです。そこで、ミドルに注目してもらえるとなお嬉しいですね。
今の日本代表は「かなり完成度が高いチーム」
――山村さんも現役時代にOQT(五輪予選)を経験されました。どんな大会でしたか?
山村 今はオリンピックの前年に予選が行われ、もし出場権を逃しても来年の世界ランキング動向次第でチャンスが残っている。でも当時はオリンピック開催年に行われ、一発で決まる大会だった。プレッシャーは大きかったと思います。
――2008年北京五輪出場を決めたOQT(五輪予選)、初戦イタリアは苦い思い出がありますよね。第4セット、24対17と日本がマッチポイントを獲ってから逆転された……。
山村 ありましたね(笑)。最終的に出場権を獲得できたから言えますが、あの敗戦でスイッチが入ったのは確かです。当時は松本(慶彦)と同部屋だったので「この負けがよかったと言えるようにしていかないといけないね」と夜中の2時頃まで話していました。勝てると思っても油断しちゃいけない。いい経験になりました。
――現在の日本代表に対しても期待値が高まっていますが、どんな戦いを期待しますか?
山村 大会通していい試合になると思います。それぐらい日本はネーションズリーグで自信をつけることができた。他国のメンバーが変わってもあまり関係ないんじゃないかな。どこであろうと、誰であろうと、自分たちのやることは明確。かなり完成度の高いチームだと思っています。
ただ当然、海外チームも対策してくるだろうから、そこで日本がどう対応していくかは見どころです。選手たちは自信をもっているから「絶対やります」と言ってくれると思うし、それができるだけの力があります。
――Vリーグの監督、日本代表OB……山村さんはどの目線でOQTを見るのでしょうか?
山村 今の日本は間違いなく強いチームで、観ている人たちをワクワクドキドキさせてくれる、思わず真似したくなるようなプレーやバレーボールをしています。環境や応援の仕方を変えていく大きなチャンスでもある。僕もバレーボールに携わる1人とし、新規ファンの人にも、これからバレーボールを始める人にとっても、やっていて楽しい、観ていて楽しいと思ってもらえるようにみんなでやっていきましょうという思いかな。
指導者としては、特に子どもたちが「楽しい」と目を輝かせながら取り組むような練習を考えること。そこから日本代表選手が見せるようなプレーがどんどん出てくるぐらい、裾野を広げることも大事。その一端としてVリーグが盛り上がるように僕らも頑張りますし、日本代表を心から応援しています。