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「主人公が細身なのは千代の富士の影響も…」未完の“伝説的相撲漫画”『バチバチ』はいかにして生まれたか《Netflix『サンクチュアリ』で話題》
posted2023/09/30 17:00
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by
Number/佐藤タカヒロ
2023年5月、Netflixで配信されて以降、大きな話題を集めてきたドラマ『サンクチュアリ-聖域-』。その作品の認知度が広がるにつれ、SNS上ではある漫画作品の名前が目につくようになった。それが『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で2009年から2018年まで連載されていた『バチバチ』シリーズだ。
不良の主人公の成り上がり、粋な先輩力士、そこに絡む家族の物語……などなど両作には共通点も多い。どちらも格闘技的な土俵上での真剣勝負のみならず、相撲界の慣習や文化などもリアルに描いた作品でもあり、かつての記憶を思い起こしたファンが多かったようだ。
作者の佐藤タカヒロさんが作品完結直前で急逝されたこともあり、結末が未完の同作。それだけに連載終了後、5年が経ったいまでも熱狂的なファンが多い「伝説的相撲漫画」は、いかにして生まれたのだろうか?
◆◆◆
かつて角界に旋風をもたらし、横綱を熱望視されながらも、暴力事件を起こし相撲界を追放され失意のうちに事故死した元大関・火竜。その息子である鮫島鯉太郎は、知人に引き取られ、近隣でも有名な不良少年へ成長していた。そんな鯉太郎はひょんなことから大相撲の巡業へ赴き、そこで現役力士を負かしてしまう。それをきっかけに「空流部屋」に入門した鯉太郎は、父が届かなかった横綱を目指し、怪物揃いの力士が待ち構える壮絶な戦いの日々へ身を投じていく――。
そんなストーリーで始まる相撲漫画『バチバチ』。2009年から『週刊少年チャンピオン』で連載がスタートすると、その迫力ある画風と魅力あるキャラクターも相まって、多くのファンに支持される作品となった。
立ち上げ担当が振り返る『バチバチ』連載の経緯
「最初は佐藤君が新作のネームを3本用意してきて。それぞれのテーマがゴルフ、バイク、それから相撲だったのかな。その中で一番可能性を感じたのが相撲だったんです」
作品の立ち上げ担当編集者だった秋田書店の高田健一郎さんはそう振り返る。