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“ご意見番”武蔵丸の苦言「正直残念だった」貴景勝の変化に「“ここ一番”で逃げちゃダメ」…一方でホメた「大関横綱になれる」新星とは?
posted2023/09/27 17:03
text by
武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide
photograph by
JIJI PRESS
大関貴景勝が、優勝決定戦で熱海富士を下しての逆転優勝だったね。立ち合いに変化してはたきこんで、熱海富士がバッタリと手をついてしまった。勝ちたい気持ちはわかるんだけど、やっぱりやってほしくないよな。なぜって、お客様が面白くないじゃん。本割での大栄翔戦は熱戦でよかったぶん、残念だったよね。休場明けだとか、ケガの状態だとか、万全じゃない体でいろいろ理由もあるんだろうけど、それは言い訳にはならないんだ。平幕2場所目の若手相手に、「ここ一番」で逃げちゃダメだよ。みんな「ここ一番」には命をかけてくるものなんだ。大関なんだから堂々と受け止めてほしかった。13日目の本割で熱海富士に勝った相撲は、本当にいい相撲で褒めていたんだけどね。自分が一番わかっていると思うけれど、勝っても自信にならない相撲は取っちゃダメなんだよな。11勝4敗での優勝で来場所がツナトリになるか――国技館のヤキトリは毎場所あるよ(笑)。いずれにしろ綱取りは内容次第ということになるんだろうね。僕も大関時代、11勝4敗の成績で優勝したことがあるんだけど、当時、綱取りの声が出たんだっけ? 昔のこと過ぎて忘れちゃったよ(笑)。
熱海富士は「文句なし!」
再入幕して15枚目にいた熱海富士は、盛り上げてくれて本当によかった。文句なし! 来場所も、今場所の気持ちを忘れずに暴れてほしいよ。熱海富士のいいところは、「何も考えてないところ」。いや、悪い意味じゃないよ? 何も考えずに体にまかせているんだ。いつも思いっきり行ってる。今後、相手に研究されても、まったく関係ないよ。自分の相撲を取り切っていれば心配ないもん。14日目、阿炎に変わられても俵で残して自分の形に持って行った。もうちょっと立ち合いにスピードがほしいところだけど、あまり深く考えなくていいと思うよ。
大関2場所目の霧島と、新大関の豊昇龍は、それぞれ9勝、8勝と成績が振るわなかった。豊昇龍は立ち合いに当たってないんだよなぁ。立ち合い、遅いんだよね。もっと厳しい立ち合いをしないとね。粘り腰がなくて、腰が逃げちゃってたし、結局は稽古不足ということなんだよ。
霧島も同じで、もっと立ち合いを厳しくいかないとね。体重の重さではなく、どこか“軽い”感じなんだよな。やっぱり腰が逃げちゃってるんだ。
「高安はいつになったら優勝できるんだ?」
今場所は高安も優勝戦線に残っていたけど、もう何度目だよ? いつになったら優勝できるんだ?