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テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
大谷翔平が病院に来るかも?「“患者さん”を待ってます」張り込みのち番記者が聞いた“ヒジ手術先輩”のエール「復活は間違いないだろう」
text by
柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/09/26 11:05
手術前の大谷翔平と、ネビン監督。エンゼルスの遠征中にも“オオタニ情報”は番記者に逐一入ってくる
この時点でもちろん100%の確証は得られなかったが、状況的に右肘の手術を受けたと考えていいだろう。入院の可能性も考えられたが、日本の医療関係者から、肘のデイ・サージャーリー(日帰り手術)は米国では一般的だと聞き、さらに納得がいった。
既に締め切りは過ぎ、新聞への掲載は間に合わない。あとは、いつ球団から発表されるかを待つだけだった。
「翔平は今後、何年も二刀流を続けることを希望した」
ところが、レイズの本拠地トロピカーナ・フィールドについてもなかなか情報は出回らなかった。ネビン監督は試合前会見で、大谷の右肘手術の予定など新情報を尋ねられたが「NO!」と一蹴。それどころか「彼が今、何をしているのか分からない。ただ家でゆっくり過ごしているのではないか」と続けた。
このまま公表しないのか。そんな疑念を抱き始めた頃、練習中の三塁ベンチでミナシアンGMとアダム・チョズコー広報部長が密談。直後にミナシアンGMに話を聞きにいくと「今は何も言えない。すぐに分かる」とひと言。
その5分後の午後4時37分だった。球団はバレロ代理人の声明として「大谷がロサンゼルス市内の病院でじん帯を損傷している右肘の手術に成功した」というリリースを発表した。手術法は未発表だったが、バレロ代理人は「翔平は今後、何年も二刀流を続けることを希望した」というコメントを寄せた。
疑問は残ったが、契約に影響を与えるのは間違いない
右肘じん帯を損傷して以降も沈黙していた大谷も、自身のSNSを更新。「早朝に手術を受け無事成功しました。不本意ながらシーズン途中でチームを離れることになりましたが残り試合のチームの勝利を祈りつつ、自分自身一日でも早くグラウンドに戻れるように頑張ります」と報告。敵地でのレイズ戦後に吉報を聞いたネビン監督は「電話をして、元気にしているか確認したい」と頬を緩めた。
試合前にネビン監督は本心で話しているように見えた。
あの時点で本当に大谷の手術を知らなかったのか。女性警備員が球団に報告した可能性も捨てきれないが、なぜ発表は試合前でも試合後の会見ではなく、すぐに会見を開くことができない試合開始2時間前という不可思議なタイミングだったのか。そして24年の打者、25年の投手復帰への見通しを発表したのに、手術法を伏せたのはなぜだろうか――。