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ボクシングPRESSBACK NUMBER
25歳で突然「ボクシング界の上戸彩」に…「最初は恥ずかしかった」宮尾綾香40歳が明かす、その後の15年間「一時期は本人に寄せようと…」
posted2023/09/23 11:05
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Takuya Sugiyama
今から15年前、大橋ジムから『ボクシング界の上戸彩』として売り出され、WBA女子世界ライトミニマム級王座を5度防衛した宮尾綾香。その後、ワタナベジムに移籍し、暫定王座を含めて、世界の頂点に2度返り咲くも、昨年12月に現役を引退。40歳の彼女が振り返る、かつて外見をクローズアップされ、「上戸彩」と呼ばれた当時の思いとは―――。(Number Webノンフィクション 全2回の第1回、#2につづく)
さすがに今は、言われることもないですけどね(笑)
後楽園ホールの引退式で10カウントゴングを聞いてから8カ月。元世界王者の宮尾は今年7月、千葉県松戸市にフィットネスボクシングジム『RPG』をオープンさせ、すでにセカンドキャリアを歩み始めている。新規会員を集めるためにSNS、チラシ配りで宣伝すると、インターネットで『宮尾綾香』を検索し、体験入会に来てくれる地元の人も少なくないという。
常磐線の馬橋駅から徒歩1分の好立地でオープンしたフィットネスボクシングジム『RPG』 ©Takuya Sugiyama
「頑張ってきた甲斐があったなとしみじみ思います」
WEB上の情報を探ると、世界王者としての輝かしい実績だけではなく、10年以上前に話題となった異名も出てくる。テレビや総合週刊誌に『ボクシング界の上戸彩』という大きな見出しが躍った時期もあった。
「さすがに今は、言われることもないですけどね(笑)。あの頃が懐かしいです」
いきなり「ボクシング界の上戸彩」に
穏やかな笑みを浮かべて、昔を思い返す。24歳のときに長野から単身で上京し、飛び込みで横浜の大橋ジムへ。現世界スーパーバンタム級2団体統一王者の井上尚弥がプロデビューする4年前の話だ。当時、大橋ジムから生まれた世界王者は、まだ川嶋勝重の一人だけ。アポイントなしで訪れたにもかかわらず、大橋秀行会長がその場で対応してくれ、『うちでやりなよ』のひと言で入門が決まった。JBC非公認時代に世界戦を経験していたキャリアに加え、未知なる可能性を買ってくれたのだろう。2008年9月に大橋ジムからJBCデビューを飾り、メディアに出た『ボクシング界の上戸彩』という文言に目を丸くした。