熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
“移籍金350億円PSG→報酬506億円サウジ”がアンチ増加の要因か…ネイマール“涙のペレ越え79発”もブラジル国内は「醒めている」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byAFP/JIJI PRESS
posted2023/09/17 11:04
W杯南米予選でペレ越えとなる代表通算79ゴールを達成したネイマール。国内でのリアルな評判は?
それでも、現在のセレソンでネイマールに次ぐ得点を記録しているのは45試合に出場して20得点(1試合当たりの平均得点は0.44)のリシャルリソン(トッテナム)で、ネイマールが突出している。
近年、故障のため大事な試合を欠場することが多く、私生活上のトラブルも頻発している。しかし、スピードとテクニックを駆使したドリブルでマーカーを翻弄し、意表を突くパスで相手守備陣を切り裂き、見事なゴールを叩き込むこの男のアタッカーとしての傑出した能力、そしてブラジルと世界のフットボールへの多大な貢献は正当に認めるべきだろう。
「天才少年がいる」と地元メディアが騒いでいた頃
サントス郊外で、中小クラブを渡り歩いたプロ選手の長男として生まれた。6歳でフットサルを始め、12歳で名門サントスのアカデミーへ。父親は息子の類まれな才能に驚き、彼が13歳のときに仕事を辞め、すべての練習、遠征、試合に帯同して全面的にサポート。一家の命運を少年に託した。
13歳のときレアル・マドリーのアカデミーの練習に招待され、「このまま残らないか」と勧誘されたが「友だちと離れたくない」と言って断り、サントスのアカデミーでプレーを続けた。
当時から、地元メディアとサポーターの間では「天才少年がいる」と騒がれていた。2009年、17歳でトップチームからデビューし、ほどなくレギュラーに。「2010年W杯のメンバーに加えるべきだ」という声がメディアと国民の間から上がったが、当時のドゥンガ監督は「まだ経験不足」として招集を見送った。
バルサ移籍以降から“キナ臭い匂い”が漂い始めた
2013年にバルセロナへ移籍したが、後に父親が移籍金の一部を着服したことが判明し、サントスと彼の所有権を保持していたブラジルの投資会社から訴えられた。
この頃から、彼の代理人を務める父親にブラジルとスペインでの巨額の脱税、ブラジルでの違法行為などのキナ臭い匂いが漂うようになる。