マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「史上最高のドラフト予想」もある中で…取材記者が明かす大学&社会人野球“誰も書かなかった”隠れた逸材サウスポー3人
posted2023/09/11 17:02
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
SANKEI SHIMBUN
◆◆◆
社会人野球・ENEOSの度会隆輝(20歳・183cm83kg・右投左打・横浜高)が「二塁手」になっていて驚いた。
今季で入社3年目、高校時代は二塁も三塁も守っていた「内野手」だったから、別に驚くほどのことじゃないのかもしれないが、ENEOSでの3年間は、入社以来ずっと外野手だったから、エエッと思ってしまったのだ。
高校時からプロ注目の存在で、社会人2年目の昨夏の都市対抗野球で、ドカンとブレークした。5試合で4本塁打、若者らしいハツラツプレーでMVP的存在にのし上がって、今季はドラフトの有力候補に挙げられている。
今夏の都市対抗では、高レベルの左腕投手の両サイドへの攻めに苦しんだが、プロでもトップクラスの強肩と守備力で、有力候補であることには変わりはない。オープン戦でもネット裏では、必ず複数のスカウトたちがその一投一打に目を凝らす。この日は、二塁手としての守備力も確認できたはずだ。
その一方で、試合途中でリリーフに上がったサウスポーの投球が、キラリと光って見えた。
【1】ENEOS・阿部雄大投手「打者が嫌がる体感速度」
ENEOS・阿部雄大投手(23歳・183cm87kg・左投左打・酒田南高)の実戦を見たのは、これが最初ではない。2019年の日本選手権、高卒1年目で大舞台の先発という大役を担っていた。当時から将来を嘱望された存在だったからだろう。
4年前のピッチングがスタイルを変えずに、そのまま精度を上げてパワーアップも感じさせる投球だった。
スピード勝負の「剛腕」には見えないが、速球は130キロ後半でも、クロスファイアーが右打者のふところを差し込み、左打者はコースの高低を見間違えて空振りしている。打者の反応を見れば、立派な「剛腕」だろう。