ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
「マツヤマの連続記録に終止符」米メディアも讃える松山英樹の偉業…「まあ、行けると思うけどね」22歳の仰天発言から始まった“歴史が変わった9年間”
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byGetty Images
posted2023/09/01 17:00
米参戦1年目の2014年、上位30名のみが出場できるシーズン最終戦「ツアー選手権」に出場した松山英樹(当時22歳)。そこから9年、その資格をずっと守り続けてきたが、今季ついにその連続出場記録が途絶えた
松山の記録にストップをかけたのもやはり故障によるところが大きい。昨春に深刻になった首から背中にかけての痛みが長らく癒えていない。それぞれの大会前に、ゴルフの調子はどう、コースとの相性がどう、と気にかけるより、「今週の体調」という心配が先に立つ。この1年余り、トップフォームで4日間プレーできたゲームが3試合あったかと言うと疑わしい。
アトランタでの最終戦出場が、すべてのPGAツアー選手の夢であるように、松山にとってもそれは紛れもなくプライドだった。それは彼の中ではずいぶん早いうちに「最低限の目標」になったようである。
過去に最終戦に進出した日本人は…
ザ・メモリアルトーナメントで初優勝し、本格参戦1年目にしてツアー選手権を戦った2014年。冬のオフ、翌年のスケジュールについて頭を巡らせていた時のこと。「その試合は出る、それは出ない」と出場試合の予定を口にしながら、最終戦についても「まあ、行けると思うけどね」と淡々と言った。
声には出さなかったが、内心「“行ける”んだ」と少し驚いたのを覚えている。
当時22歳。メモリアルでの優勝だけでも、日本の男子ゴルフ界はひっくり返りそうだったのに。松山の前に最終戦に進出した日本人は2人だけ。丸山茂樹がプレーオフ制度開始前に2回(2002、04年)、今田竜二が開始後に1回(08年)進出した実績が金字塔だった。