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「マツヤマの連続記録に終止符」米メディアも讃える松山英樹の偉業…「まあ、行けると思うけどね」22歳の仰天発言から始まった“歴史が変わった9年間”
posted2023/09/01 17:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Getty Images
暦の上でわずか1週間の違いが、大きな喪失感を漂わせる。
1カ月か、そこらの短期決戦のうちの1週ではなく、1年におよぶ長い戦いにおける1週だからこそ、勝負の世界の厳しさを改めて痛感させられる。
それもこれも、松山英樹が積み上げてきたものがきっと、偉業と言えるからこそだ。
PGAツアーは先週、ジョージア州アトランタでのツアー選手権(8月24〜27日)でシーズンの幕をいったん下ろした。シーズン最終戦を制し、年間王者に輝いたのは25歳のノルウェー人、ビクトル・ホブランだった。
️「真のエリート」だけが出場できる最終戦
昨年9月に始まった2022-23年シーズンで松山は2季ぶりに優勝がなかった。各大会の成績に応じた年間ポイントレースの「フェデックスカップ」でこれまでのキャリアにないほど低迷。50位に終わり、プロ2年目で米国に本格的に主戦場を移した2014年以降、初めてこのシーズン最終戦に出られなかった。
ツアー選手権は直前大会終了時点でのフェデックスカップポイントランキングで、30位までのプレーヤーが出場資格を得る。進出選手は最低50万ドルのビッグボーナスのほか、翌シーズンの各メジャー大会等への出場権を早々に掴む。
実際のところ、2021年にマスターズで優勝した松山の翌年以降の出場資格が危ぶまれることはないのだが、トップ30でシーズンを終えること自体が、PGAツアーではその年の「真のエリート選手」としての看板と言っていい。
松山は前述の14年以降、9年連続でかくなる真のエリートであり続け、そして「10年連続」を逃した。