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史上13人目の“ノーノー未遂” 中日・柳裕也の熱投を支えた「絶対に忘れることはない」あの投手の面影…9回のマウンドで突如流れた「黄金魂」の秘話
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/17 11:01
“ノーノー未遂”も力投を見せた柳
故・木下さんの「魂」と共に
「今日言ったんです。球団の人に『もし9回に上がる時は、雄介さんの登場曲を流してください』って。この前、命日でしたし、忘れることはないんですけど(生前に)僕が8回まで投げて、雄介さんが9回を抑えて、そういう試合をやりたいですねって話していたので」
同じく球団公式YouTubeチャンネルで、選曲のいきさつを語っていた。2021年8月3日に急逝した木下雄介さんは、年は上だが同期入団だ。先発の柳とリリーフの木下さん。いつか2人で継投をしたい。そんな思いからこの日の朝、球団に使用を願い出た。9回まで自分が投げる予感があったわけではない。それどころか、今シーズンは本拠地で未勝利なのだ。しかし、その9回はやってきた。四球を与え、盗塁も許して一打敗戦のピンチも背負ったが、後続を打ち取った。
結果として柳自身は白星を手にすることはなかったが、勝利のお立ち台には欠かせない選手だったことは来場者全員が知っていた。大野のように我慢強く、そしてもう投げられない木下さんの思いを背負って……。次回以降も9回は「黄金魂」だと明言した柳。「ノーノー未遂」の裏には、2人の仲間がいた
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