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史上13人目の“ノーノー未遂” 中日・柳裕也の熱投を支えた「絶対に忘れることはない」あの投手の面影…9回のマウンドで突如流れた「黄金魂」の秘話
posted2023/08/17 11:01
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
JIJI PRESS
中日の柳裕也が8月13日の広島戦(バンテリンドーム)で、9回を無安打無失点のまま降板した。この試合では岡林勇希が球団記録を74年ぶりに更新する26試合連続安打を達成。1点を追う10回には石川昂弥が起死回生の同点ソロ、続く宇佐見真吾がサヨナラソロを放ち、4人が密になりながらお立ち台で笑顔を振りまいた。
「人生で初のノーヒットノーランなんですけど、本当に達成できると思ってなかったので……。ありがとうございました!」とマイクを持った柳が叫んだのは、渾身のボケである。9回を抑えても達成とならなかった投手を、目の前で見ていたのだから。球団公式YouTubeチャンネルで、試合直後のインタビューのようすが公開されている。
「7回くらいから僕もバチバチにノーヒットノーランを意識していたんですけど、大野さんの完全未遂の試合があったじゃないですか? あれを思い出していて。あの人はフォアボールもデッドボールも出さずに、我慢強く投げていました。あの試合を僕は生(ロッカールーム)で見ていましたから、僕もああいうふうに投げたいと思っていた。あの姿を見たことが今日に生きました」