欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
久保建英の“映像では見られない”「開幕ゴールの歓喜→顔を覆ってガッカリ」をカメラマンが撮った「ソシエダが勝ち切るためには久保の…」
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/08/17 11:14
さわやかな夏空にラ・レアルのユニフォームの青と白が映える中、久保建英の23-24シーズンが始まった
鋭く積極的な守備、PK取り消しに顔を覆ってガッカリ
また光ったのは攻撃面だけではなく、相手守備陣、そしてGKにまで積極的にかけたプレッシャーだった。久保がプレスでパスコースを限定すると、右サイドバックに入った新加入トラオレが狙いすましてボールをカットする。試合中にも言葉を掛け合いながら、コンビネーションを確立させていく。
今シーズン初のプレースキックとなった場面では、前季に引き続きメンデスがボールを手にしたが、久保もキッカーに名乗りをあげるシーンもあった。
勢いに乗ったソシエダは12分、メンデス、フェルナンデスと繋がったボールに、オヤルサバルが走り込みボックス内で倒されてPKの判定が下ると、会場は大いに沸いた。しかしVARの結果、判定が取り消されると久保は両手で顔を覆って悔しがった。
その後もサイドから縦への突破、カットインから強烈なシュートを狙うなど、キレの良さを感じさせた。また久保、トラオレ、メンデスの3人のコンビネーションが光るシーンもあったが、活躍は限定的なものとなった。昨シーズンの久保の活躍は周知の事実であるゆえ、ジローナとしては常に1人目、2人目のマークが目を光らせていた。
シルバの不在も大きく感じられる展開でもあった。久保の元まで効率的にボールを運ぶことができず、前半のポゼッション率はジローナの方が高くなった。
1点リードのまま迎えた後半、攻撃を加速させたいソシエダだったが、相手陣内に攻め入るも崩しきれない時間が続くと……。
何か上手くいっていないというような表情が久保の顔に浮かぶ一瞬があった。
それから数分後の72分、クロスに頭で合わせた途中出場アルテム・ドフビクの一発にやられてしまった。守備人数は足りていたが、一瞬の隙をつかれてしまった。そして久保は74分、ピッチを後にした。
勝ち越したいソシエダは、途中出場のサディク、チョなどを中心に最後まで逆転を試みたが――同点のまま終了を迎えた。
“格上”となったソシエダが今季抱える課題とは
昨季昇格組のジローナは、ソシエダを明確に”格上”として試合に臨んでいた。同点に追いついて以降は、GKの露骨な時間稼ぎに警告も出された。
試合を通して5枚のイエローカードを受けるほど、激しくソシエダを迎え撃った。久保のゴールで先制こそ許しはしたが、粘り強く勝ち点1を奪った戦いは想定内だったか。