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「羽南がギャルになるなんて」ファンも衝撃…イメチェン後のスターダム羽南19歳が目指す“自分のプロレス”とは?「オカダ選手の動画を見て…」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byEssei Hara
posted2023/08/11 11:03
今年の5★STAR GP初戦の舞香戦で入場する羽南
何度も見た“オカダ・カズチカの動画”
7月23日の開幕戦、舞華相手に繰り出したのは走り込みながら放つ低空のエルボースマッシュ。横殴りや背面から当たる形ではなく、下からカチ上げるアッパーカットスタイルの一撃だ。道場での練習はもちろん、リーグ戦開幕前の北海道・東北遠征中は移動バスの中で繰り返し映像を見た。
「名前を出すのもおこがましいんですけど、オカダ(・カズチカ)選手の動画を見て研究していました」
とはいえ、いきなりトップ前線に食い込めるわけではない。開幕戦は舞華に「これまでずっと勝てなくて、その悔しさをぶつけた」が敗北。昨年は勝っている白川未奈にはギブアップさせられた。ここまで公式戦4連敗。優勝が狙えるかといえば、かなり厳しい。それでも舞華戦やジュリア戦は「凄く楽しかった」そうだ。
それは、去年のような「無我夢中で何も覚えてない」試合とははっきり違うということ。できたこと、できなかったことがしっかり飲み込めている。白川戦では、今年に入りワンダー・オブ・スターダム王座とタッグ王座を獲得した相手との「見てきた景色の差」を感じた。タイトルマッチで、あるいは王者として見た景色も選手を強くするのだと気づいたのだ。
「たくさんの景色を見たからできるプロレスが私には足りないんだと思う」
試合後、羽南はSNSにそう書いている。去年はすべてが“いい経験”だった。しかし今年は楽しさや悔しさや一つひとつの攻防、その意味を自分なりに咀嚼している。
特に意識する対戦相手は?
高校を卒業して、羽南のキャッチフレーズは“格闘JKファイター”から“ヤング・ライオネス”に変わった。「ライオンのように貪欲に」が今のテーマだと羽南。“高校生なのに頑張っている”と褒めてもらえることはもうない。リーグ戦での負けも、現時点での“プロレスラー”としての実力を突きつけられるものだからそれぞれが重い。その重さの分だけ力がつく。
公式戦で特に重視しているのは、林下詩美戦だという。
「向こうがフューチャー王座を持っている時に私が挑戦して、それ以来シングルマッチをやってないんです。団体トップのベルト(ワールド・オブ・スターダム)も巻いて、凄く成長してると思います。そんな相手に私の成長もぶつけたい」
林下戦はリーグ戦終盤。羽南にとっては、この夏の成長分も武器になる。
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